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ソムリエの追言 ②
「夏バテワインの対処法」 
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「・・・格付けワインなのに、なんだか美味しくないね。」 

以前レストランで働いていた時に、お客様から頂いたキツイ一言。
「なにか特別なワインを」と、 リクエストをいただき私が選んだのは、「スーパーセカンド」との呼び声も高い、 

シャトー・レオヴィル・ラスカーズ1995年
(CHATEAU LEOVILLE LAS CASES)
 
料理との相性、また「門出を祝って」と言う意味を込め、 ラベルにシャトーの大きな門が描かれたボルドーワインをセレクトしました。
我ながら素晴らしい選択だと内心思っていたのですが・・・ 

コルクチェックした感じではブショネではない。(見逃す事も多いですが) 提供温度も絶妙の18℃。 

それなのに何故?? 
時期が早すぎてまだ飲み頃に達していなかったのか・・・
当時レストランでは30,000円以上する高級ワインです。
お勧めした手前、背筋に緊張が走ります。

お客様に了解を得て少し味を見てみると、 香りは特に問題なく、凝縮した果実の香りと熟成による土のような香り、 樽の香りが織り合わさって、このワインの特徴がよく表れています。
ところが・・・。

一口飲んでビックリ。
酸味が変にこなれ過ぎていて、 ぼてっとしてたるんだ印象。 
その他の果実味やタンニンには力強さがあるのに、 それに対して酸味が極端に弱いのです。 はっきり言って美味しいと感じられるものではありませんでした。 

「酸が壊れる」
擬似熟成とでも言いましょうか。 

高熱にさらされて液漏れを起こしている場合や、 外観が茶色味を帯びた褐色で明らかにおかしい場合、 ワインは酸化が進みすぎて酸っぱくなっていたり、 焦げたジャムのような独特の香りがする事があります。
しかし軽度の熱劣化は外観、香りからは判別が難しく、 酸味にフレッシュさを欠くような味わいになる事があります。 よく言えば酸味がおだやかになっているのです。 

そうすると、一見熟成がすすんだような味わいに思えるのですが、 全体を引締める酸味が欠如しているので、飲んだ時にすっと入ってこない。 喉にひっかかるようなギスギスした感じを受けます。 今回のケースがまさにそれでした。 


夏場の配送でクール便にも関わらず、 集荷センターで一時的に常温で置かれていたのでしょうか? お客様には事情を説明し、別の銘柄をお薦めするしかありませんでした。 もちろん、ラスカーズの代金は頂けません。 レストランにとっては大きな痛手となってしまいました。 

酸を取り戻せ!
さて、この劣化したラスカーズですが、 お店の営業が終わってから、スタッフでもう一度試飲してみる事に。 

栓をして冷蔵庫に入れておいたのですが、 最初に飲んだ時の「不味くて飲めない」という程の違和感はなく、 30,000円の価値はありませんが、それなりに美味しく飲めました。
同じトマトでも火を入れて調理した温かいものの方が甘みを強く感じ、 冷たいサラダの方が酸味を強く感じるものです。 同じ味でも温度によって受ける印象はずいぶん違います。 

ワインの酸味は、温度を下げた方が強く鋭く感じ、シャープな印象を受けます。
冷蔵庫に入れて冷やした事によって、 弱ってしまった酸が強調されて、 果実味とのバランスが取れたのかもしれません。 ぼやけた味わいのワインもいったん締める(冷やす)事によって、 復活する事があります。 似たような場面に遭遇したら、ぜひ試してみてください。 

なんだか私達の熱中症の対処法に似ていると思いませんか? 
元気な子供達よりもお年寄りの方が熱中症にかかりやすいように、 ワインも年代物になるにしたがって、デリケートに熱などの影響を受けやすくなります。

ただ、日常的に飲む若いワインに対しては、何度で配送して保管条件はこうで・・・とあまり口うるさく神経質になる必要はないと思います。 そういう人達は、ワインを大切にしているようで、 逆にワインを難しいものにしてしまってワインのファンを減らしていると思うのです。 

あくまでもワインの基本は、「気軽に楽しく」です!
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