┌┬───────────────────────────2024年12月
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│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第156号
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└──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 www.ht-tax.or.jp/
辻・本郷 税理士法人の資産税の専門家が
相続・贈与税、資産にかかわる最新の情報をお届けする
「資産家のための資産税ニュース」 毎月15日配信です。
(※15日が休日の際は、前営業日に配信いたします)
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■□ 米ドル建保険を解約して米国債を購入。確定申告への影響は? ■□
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2024年もいよいよ暮れが迫ってまいりましたね。
例年であれば税制改正大綱が公表される時期ですが、今年はニュースなどで
報道されているとおり、やや遅れています。そのため、今回は確定申告に関わる
お話をさせて頂きます。
【1.記録的な円安が継続 】
2022年から始まった円安は、アメリカの金利政策などの影響で今なお続いて
います。
そのため、ここ1、2年、「米ドル建保険を解約した方がいいかしら?」という
ご相談を受けることが増えました。
確かに、10数年前に加入した時1ドル100円だったものが150円になれば、
ドルベースの解約返戻金がさほど大きくなっていなくても、受け取れる日本円は多くなりますから、米ドル建保険を解約した方も多いのではないでしょうか?
【2.為替差損益の認識 】
米ドル建保険への加入、解約といった、外国通貨で支払いが行われる取引を
外貨建取引といいます。
外貨建取引において、為替差損益を認識するタイミングは、外貨建資産が
違う資産へ形を変えたときです。反対にいえば、同じ資産のまま預入先を変えた
場合には、為替差損益は認識しません。
例えば、A銀行で預けていた10万米ドルの定期預金が満期になったためすべて払い出し、元本部分の10万米ドルをB銀行の普通預金米ドル口座へ預け替えたようなケースでは、米ドルの現金を米ドルの現金のまま、預入先を変えただけですので、為替差損益は認識しません。ここで、A銀行で預けていた10万米ドルの定期預金が満期になったためすべて払い出し、日本円やユーロなどの異なる通貨へ形を変えた場合や米国債などの違う資産に形を変えた場合には、為替差損益を認識する必要があります。
【3.米ドル建保険を解約して米国債を購入した場合は? 】
<設例>
契約者、受取人:本人
10万米ドルの米ドル建保険に加入時のレート:1米ドル=100円
解約時点のレート:1米ドル=140円
解約返戻金:11万米ドル
即日、その11万米ドルで米国債を11万米ドル購入
外貨建保険の課税関係は円建ての保険と同様です。
為替差損益を単独で認識するのではなく、一般的にはTTMによる円換算額の
差額で所得金額を計算します。即日、その11万米ドルで米国債を購入した点に
ついては、現金から米国債へと違う資産に形を変えていますが、同レートのため
為替差損益は発生していません。
所得金額 = (140円 × 11万米ドル) − (100円 × 10万米ドル) =540万円
本人が契約した保険を解約し、本人が解約返戻金を受け取ったケースですので、540万円を一時所得として確定申告することとなります。
なお、金融類似商品に該当する収益(※)については、一律20.315%の源泉徴収となります。
※ 一時払養老保険や一時払損害保険などで一定の要件を満たすものの差益
(保険期間等が5年以下のもの、または保険期間などが5年を超えるもので 保険期間の初日から5年以内に解約されたものの差益に限る)
こうした外貨建取引も最近身近になっています。
米ドルで保険にしていたものが米ドルで国債になっただけなので、自分が何か受け取った実感がなく、うっかりしてしまいがちですが、確定申告の際に漏れのないよう、くれぐれも注意しましょう。
(担当:税理士 井口 麻里子)
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