┌┬───────────────────────────2025年5月
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│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第161号
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└──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 www.ht-tax.or.jp/
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■□ 資産運用で生じる雑所得、どうする? ■□
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外貨での資産運用を検討中の方も多いかと思いますが、為替変動に伴う
想定外の雑所得には注意が必要です。雑所得は累進課税である総合課税の
対象となり、一般的には分離課税(原則20.315%)よりも税負担が重くなります。
【1.外貨預金】
円預金に比べて高金利が魅力的な外貨預金ですが、当初ドルへ変換してからの
為替変動は雑所得の対象です。円転(日本円に戻す)だけでなく、ドルのまま
株式や不動産の購入、保険料に充てるなどした場合にも、為替差損益を認識する
必要がありますのでご注意ください。
【2.外貨預け金】
外貨建債券の利金を受け取った場合や外貨建株式を売却した場合に、日本円で
受け取らず、外貨のまま受け取る際も注意が必要です。外貨で受け取り後、次の
金融商品に投資するまで証券会社に預けておく外貨預け金の為替変動も雑所得の対象となります。
【3. 為替差益が生じてしまったら】
雑所得内の内部通算は可能ですが、残念ながら雑所得でマイナス計上できる
ものは多くありません。ただし、ビットコインなどの暗号資産は雑所得の対象
ですので、含み損がある場合には損出しによる内部通算も検討できます。
なお、外国為替証拠金取引(FX)も雑所得に該当しますが、申告分離課税の対象
となる雑所得のため、外貨預金等の為替差益との通算はできません。
【4. 為替差損が生じてしまったら】
FXの損失は翌年以降への繰越しも可能ですが、外貨預金等の為替差損は
繰越しができませんので、同じ雑所得である年金収入との通算や暗号資産に
含み益がある場合の益出しも選択肢となります。
また、上場株を多く保有する場合には、株式を証券会社に貸し出す「貸株」も
検討できます。配当金の権利確定日も貸し出したままにすることで、源泉税が
差し引かれる配当金ではなく、「配当金相当額」を受け取ることも可能です。
配当金相当額や貸株期間中の貸株料は雑所得の対象となりますので、為替差損
との通算が可能です。
【5. 外貨建MMF(マネー・マーケット・ファンド)】
外貨預金や外貨預け金は、外貨のまま置いておくことによる為替変動が
雑所得の対象となりますが、外貨建MMFであれば雑所得の回避が可能です。
MMFは公社債投資信託に該当しますので、譲渡時の為替変動分は譲渡所得
(申告分離課税)の対象となり、源泉徴収ありの特定口座であれば申告不要制度の
選択も可能となります。
さらに、配当金との損益通算や損失の繰越控除の対象にもなりますので、
税務上のメリットは大きいといえます。
(担当:税理士 鈴木 淳)
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