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┃ 経営者のための 事業承継ミニ情報 ◇第114号◇
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会社の経営権である株式を、後継者にどう承継すれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか、
承継の際の税金について、どう取り扱えば良いのか?
そんな疑問の解決に役立つ情報を、毎月1回配信いたします。
このミニ情報をご覧いただき、
円滑で、そして税務上も有利な事業承継対策を実現していきましょう。
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事業承継における「投資育成会社」の活用と留意点
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今回は、事業承継を検討する際の「投資育成会社」の仕組みと活用方法、そして
留意点について解説いたします。承継にあたっての資金調達や経営体制の整備をお考えの方は、ご参考にしていただければ幸いです。
- 投資育成会社とは
「投資育成会社」とは、中小企業投資育成株式会社法に基づき設立された会社で、地域の中小企業の成長と発展を支援することを目的としています。通常の投資ファンドとは異なり、短期的な株式売却益を目的とせず、中小企業の経営基盤の安定や雇用維持を重視している点が特徴です。現在、東京・名古屋・大阪の3地域にそれぞれ設立され、幅広い支援を行っています。
【2】事業承継における活用方法とメリット
事業承継の場面では、後継者への株式承継に伴う資金負担や、承継後の経営体制の整備が課題となります。投資育成会社を活用することで、株式の一部引受による資金負担の軽減、後継者への経営支援や人材育成のサポート、外部株主の存在による金融機関からの信用力強化といったメリットが期待できます。資金調達にとどまらず、中長期的に安定した経営基盤を築く上でも有効です。
【3】留意点
一方で、投資育成会社を活用する際には次の点に留意が必要です。
(1) 株主支配の変化:
株式の一部を投資育成会社に譲渡、または第三者割当増資で割り当てるため、
同族株主のみでの完全支配が維持できなくなる場合があります。
(2) ガバナンス体制の整備:
投資育成会社は、経営の透明性や内部管理体制の強化を求めることが多く、
会計・税務・法務面の体制整備が不可欠です。
(3) 安定的な配当の必要性:
投資育成会社は、出資先からの配当金により投資の回収を行うため、安定的な 配当を行う必要があり、長期的に資金繰りや配当政策に影響を与える可能性があります。
(4) 株式の買戻し制限:
投資育成会社から株式を買い戻す際には、契約上の一定の制約があり、
柔軟に自社株式を回収できない場合があります。将来の出口戦略については、
事前に十分な検討が必要です。
【4】まとめ
投資育成会社は、事業承継における資金面・経営支援面で大きなメリットを持つ一方、株主構成や配当政策への影響、株式買戻しを検討する場合の制約といった注意点もあります。活用にあたっては、メリットとリスクをバランスよく理解することが重要です。
当法人でも事業承継に関するご相談を承っておりますので、どうぞお気軽に
ご相談ください。
(担当:染谷 裕太)┏◆◇━2025年8月━◇◆
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┃ 経営者のための 事業承継ミニ情報 ◇第113号◇
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会社の経営権である株式を、後継者にどう承継すれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか、
承継の際の税金について、どう取り扱えば良いのか?
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円滑で、そして税務上も有利な事業承継対策を実現していきましょう。
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「取得条項付株式」と「全部取得条項付株式」
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会社にとって好ましくない株主を会社から排除したい場合、種類株式の一つとして「取得条項付株式」を導入し株式を強制的に取得することができますが、それと似たような制度として「全部取得条項付株式」があります。
今回は、両者の特徴から、それぞれの長所・短所までをご紹介します。
取得条項付株式、全部取得条項付株式のいずれの場合も、会社(自社)が、株主から『強制的』にその株式を取得できるという点では同じですが、
取得条項付株式はあらかじめ「定款で定めた事由」が発生したことをもって
「その一部の株主」から株式を取得できるのに対し、
全部取得条項付株式は、株主総会の「特別決議」により「全員」から株式を取得できる点で異なります。
たとえば、取得条項付株式では、定款で「一定の議決権割合を超えて株式を保有した場合」や「会社の従業員(役員)でなくなった場合」等を一定の事由として定めることで、その条件に該当した一部の株主のみから株式を取得することができるため、個別の状況に対応した柔軟性を持たせた設計が可能ですが、取得条項付株式を採用するためには『総株主の同意』が求められることから、導入するハードルが高いこと、また取得の対価を定める必要があること等が難点として挙げられます。
一方、全部取得条項付株式は、株主総会の特別決議で採用することができ導入するハードルが比較的低いこと、また無対価での取得も認められている点において、取得条項付株式の短所を補完することができますが、全部取得条項付株式を取得する場合には特別決議が必要であり自動的に取得できない点、また「全株」を取得することとなるため、一部の株主のみから取得したい場合には利用できない点に留意が必要です。
実務上、全部取得条項付株式は、例えば「1,000株に対して1株の普通株式を交付する」などの条件を設定し、その結果、端株のみとなる少数株主に対しては現金のみを交付して株主から排除するような場合に用いられます。
どちらが会社に向いているかはオーナーのニーズや株主構成等によりますが、
一般的に「株主が多数おり総株主の同意を得ることが現実的でないが、
それでもいざという時には株式を取得してでも会社経営を守りたい」等のニーズがある場合には、全部取得条項付株式が選択されることもあります。
今回は、取得条項付株式と全部取得条項付株式の違いについて取り上げました。
紹介した以外の株式も含め、種類株式の導入についてご興味がある場合には、お気軽にお問合せください。
(担当:仁平 和宏)
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