BIS論壇N0.509『国家情報局創設』中川十郎 26・3・14
高市政権はこのほどインテリジェンス司令塔として首相を議長とする「国家情報会議」とインテリジェンス実務を担当する「国家情報局」を設置する法案を閣議決定した。
欧米5カ国のスパイ組織『Echelon(梯子の隠語)』(英国、米国、カナダ、豪州、ニュージーランドのアングロサクソン5カ国が85年以上前の1940年代に創設した)に比べても大幅に出遅れており、遅きに失した感じだ。
国家情報会議は首相のほか官房長官、外務大臣などで構成。安全保障やテロ防止、外国のスパイ活動取り締まりなど重要情報を調査、審議するという。事務局の「国家情報局」は現在の内閣情報調査室を格上げし、国家情報局長をトップに据える。
日本のインテリジェンス組織は大幅に出遅れており、情報三流国の感は免れない。英国の有名なMI6(秘密情報部)、米国のCIA(中央情報局)、ロシアの対外情報局(SVR)=悪名高い旧GURU)、今回のイラン攻撃の裏で動いたといわれるイスラエル諜報機関モサド、さらに韓国のKCIAなどに比べても日本の諜報機関の出遅れはいかんともしがたい現状だ。安全保障は軍事のみでなく、国力の基盤である経済情報(ビジネスインテリジェンス)の国際的な収集、分析も必要だ。その意味で今回の高市政権の国家情報局構想に経済情報面からの視点が欠けていることは問題だ。官庁の意見、情報のみでなく、経済情報に関しては企業、民間の意見も取り入れ、国家情報局が官民協力して慎重に活躍することを期待したい。
あわせ共産党はじめ、野党が危惧しているスパイ防止法などによる人権や個人情報の守秘、通信傍受などに関しては裁判所の許可取得などの慎重な配慮が望まれる。あわせ国家情報局の活動に関しては第三者委員会などで審査する制度も必要と思われる。
この機会に国家情報局などに勤務する情報担当者のインテリジェンス教育の必要性を強調したい。日本においては特に情報、インテリジェンス教育の出遅れが目立つ。
米国では軍、産、学間の諜報情報教育の強化、教育が国家ベースで急速に進みつつある。一方、EUではフランスが中心となり、2006年9月にベルサイユにビジネスインテリジェンス大学院を設置。米国の情報教育の動きに対抗しようとしている。(『知識情報戦略』石川 昭、中川十郎 編著 税務経理協会 60~62ぺ-ジ参照)
さらに筆者のビジネスインテリジェンス研究の恩師である、スエ―デン・ルンド大学
Dejier博士は50年前の1970年代に世界で初めてビジネスインテリジェンス講座を立上げ、経済情報教育の始祖だとみなされている。日本でも国家情報局創設を機会に中高大学でのAIを含む情報教育が強化されることを祈念する次第である。








