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        世界の最新トレンドとビジネスチャンス

        第80回

         

        進化するインドと日本の同盟関係

        深まる安倍・モディ首相の親密度(後編)

         

                                     浜田和幸

         

        ウェブで読む:http://foomii.com/00096/2017090810000040935

        EPUBダウンロード:http://foomii.com/00096-41521.epub

        ────────────────────────────── 実際、2015年8月にウラジオストックを舞台に実施された中ロ合同演習は過去最大の規模となった。しかも、中ロ友好協力条約によれば、「どちらかに脅威が及んだ場合、他方が支援する」という相互援助が条文化されているのである。仮に米中が軍事的に対立した場合、ロシアは中国を支援するというわけだ。その逆もある。片務的な日米安保とは異なり、まさに軍事同盟としての役割が明文化されている。

         では、そうした動きを加速させる中国の意図をどう分析すべきであろうか。また、南シナ海における軍事基地化の本当の狙いは何なのか。中国は新たに建設した飛行場にジェット戦闘機を送り込んでいるようだが、その目的は?しかも、配備されつつある戦闘機はロシア製のSU-35と目され、世界最高の性能を誇るもの。アメリカも一目置く存在だ。

         アメリカを誘い出した上で、ロシアとも結託し、超大国アメリカを潰す戦略に舵を切ったとでもいうのであろうか。言うまでもなく、財政赤字に苦しむアメリカはアジア太平洋地域において、その海軍力が「ハウス・オブ・カーズ」と揶揄されるごとく脆い存在になりつつある。そうしたアメリカや日本にとっての「不都合な真実」を見越した上での中国的深慮遠謀のなせるワザなのか。

         

         もちろん、別の見方もあるだろう。しかし、いずれにせよ中国は単なる資源獲得に止まらずアメリカを抜く超大国への道を目指していることは間違いなさそうだ。言い換えれば、世界の覇権国家を目指しているといえよう。この点を見誤ると、アジアの安全保障環境は崩壊する。繰り返すが、中国は岩礁の基地化を通じての広範な領有権を追求しているだけではないからだ。その点での、中国の真意を読み解く必要がある。

         アメリカは遅ればせながら、第7艦隊所属の空母「ジョン・ステニス」や駆逐艦を南シナ海へ派遣した。しかし、財政的な重荷を背負うアメリカにはかつてのような「世界の警察官」の役割を担う意思も能力もない。ましてや、ビジネス最優先のトランプ大統領はアメリカの武器や兵器を買ってくれるなら、台湾にも韓国にも、いくらでも武器輸出をする、という姿勢。日本にも1基800億円の「イージス・アショア」など陸上配備のミサイル防衛システムの売り込みに余念がない。

         自前の軍事的対応がかなわないためか、アメリカは日本やインドとの3か国合同演習に力を入れつつある。これも日本ではほとんど報道されないが、わが国はインドと経済、軍事的な連携を強める方向に進んでいる。多分にアメリカの意向もあり、中国封じ込め戦略の下で、インド、オーストラリアとも集団的安全保障体制の構築を進めているのが安倍政権である。

         こうした動きができるようになったのも、2015年、すったもんだの末、成立した安保法制の賜物といえよう。事態は急ピッチで動いている。例えば、フィリピン北部での軍事演習が想定されている。この計画はアメリカの太平洋軍司令長官ハリー・ハリス提督によってインドのニューデリーで開催された安全保障会議の席上で明らかにされた。中国の反発を呼んだのも当然だろう。

         これまでアメリカとインドは「マラバール海軍合同演習」を通じて、二国間での軍事協力を進めてきた。この枠組みに日本も正式に参加するようになった。今や毎年、3か国で軍事訓練を展開中だ。インドは日本から最先端の水陸両用航空機SU-2など各種の防衛装備品を購入することを決めた。これも武器輸出3原則が撤廃された結果である。

         これまでインドはアメリカから防衛装備品を積極的に導入してきた。同様にアメリカ製のミサイル防衛システムやイージス艦、オスプレーなどの導入を図ってきた日本。その意味では、防衛面でのインドと日本の統合運用はスムースに展開する可能性がある。外交の観点からすれば、プラス、マイナス両方あるが、見方によってはアメリカの戦略に上手く乗せられただけともいえよう。得をするのはアメリカの軍需産業ともいえるからだ。

         となれば、日本は独自の外交に踏み出すべきである。そのカギを握るのはインドだ。「アジア太平洋の時代」とよく言うが、インドのモディ首相の主張は「インド太平洋」の時代。日本とインドが協力し、安全保障からエネルギー、鉄道、医療、税制まで幅広い分野での戦略的シナジー効果を狙ってのこと。インドとの間で「ビジョン2025」を結んだ日本。当然、中国による南シナ海における岩礁の埋め立て、軍事基地化を念頭においた対策という側面は否定できない。しかし、より大きな可能性を秘めての合意である。

         忘れてならないのはインドが大量の労働力を抱えていること。人口の大きさでは間もなく中国を抜く勢いだ。人手不足、労働力不足の日本の現状を把握し、積極的な人材派遣に力を入れているのがパール判事やチャンドラ・ボースを生んだインドである。日本企業は1200社がインドへ進出。2019年までに倍増させようとの動きが高まっている。

         更には、IT分野の牽引車として世界の製造拠点を目指すインド。中国にとって代わり、アジアからインド太平洋全域をカバーするハブを目指す。日本も新幹線に続き、原発技術の売り込みに拍車をかける。インドとの間で原子力協定を結び、日本から原発技術の移転が可能となる仕掛けだ。

         インドが進める核実験を容認する日本。CTBTへの調印、加盟をインドに求めていた日本だが、インドが中国寄りになることを防ぐために敢えて条件を外し、日本から民生の原発技術がインドに移転できるようにしたところである。経済的利益を優先した形である。

         日本はインドの「アクト・イースト」政策を支援することを宣言。かつてマレーシアのマハティール首相が提唱した「ルック・イースト」ではない。ルック(見る)ではなく、アクト(行動する)、というわけだ。インドが日本と共に進める「アクト・イースト」は中国の主張する「海のシルクロード」に対抗しようとするもの。

         ただし注意すべきは、インドは決して中国との関係を反故にしようとはしていないことだ。日本と中国のどちらからも利を得ようとしているに過ぎない。水面下では中国との関係強化にも努めている。ブータンとインドを結ぶドクラム高原では2017年の夏、中印両国が対峙していたが、BRICS首脳会議を前に、双方が軍を同時に撤収した。インドも最終的には中国との融和を選択したわけだ。日本はそうした情報収集と分析の上でアジアの時代を切り開くべきであろう。

        次号「第81回」もどうぞお楽しみに!

                                        

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