Vol.129 2019/01/04
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浜田かずゆき の
『ぶっちゃけ話はここだけで』
【今週の目次】
1.安倍・プーチン会談で北方領土問題の解決はあるのか?
2.ベトナムは未来の大国への道をばく進中!
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1.安倍・プーチン会談で北方領土問題の解決はあるのか?
ぶっちゃけ、ロシアのプーチン大統領は厳しい状況に追い込まれている。
昨年3月の大統領選挙では無事に再選されたものの、その後は経済情勢の悪化に加え、年金問題や住宅政策の失敗で支持率は急落の一途である。
頼みの原油価格も思うようにならず、ウクライナ危機に端を発する欧米諸国による経済制裁の影響もあり、国民生活は青息吐息状態だ。
そのため、昨年後半は各地で年金受給者や旧軍人らによるデモが頻発。
長期政権を目指すプーチン大統領の前途には暗雲が立ち込めている。
そんな中、「今こそチャンス」とばかり、安倍首相は1月下旬、モスクワに乗り込む予定。
今こそ、悲願の北方領土問題を解決し、平和条約を結ぼうというわけだ。
できれば、「本年6月に大阪で開催されるG20首脳会議のために来日するプーチン大統領との間で平和条約基本合意を得たい」と、やる気満々の安倍首相である。
そうなれば、「戦後処理を成し遂げた首相」として歴史に名を残すことになり、「7月の参議院選挙でも追い風を吹かすことになる」との読みに違いない。
そんな思いがひしひしと伝わってくる。
しかし、ことはそう簡単には運びそうにない。
なぜなら、プーチン大統領は安倍首相に対して、いくつもの癖玉を用意しているからだ。
例えば、「歯舞、色丹の2島を返還してもいいが、米軍基地を設置しないとの確約をせよ」というもの。
そうしようと思えば、当然のことながら、日米地位協定の改定が必要となる。
尖閣諸島での有事に際し、アメリカの支援を想定する日本にとって、北方領土の2島を除外扱いにすれば、内部矛盾を抱えることになり、到底、アメリカの同意は得られない。
というのも、このところプーチン大統領がアメリカ人の元海兵隊員をモスクワで逮捕、拘束するなどしたため、アメリカでは与野党共に「ロシア封じ込め」で一致しているからだ。
ロシアはウクライナからクリミアを収奪したと国際的な非難を受けている。
実は、ウクライナからは昨年、軍事顧問団が相次いで来日し、ロシア軍の動向に関する情報を日本の官邸や防衛省と共有するようになった。
要は、ヨーロッパではウクライナが、極東アジアでは日本が「ロシア封じ込め」の最前線で戦ってほしいとのアメリカ政府の意向を受けてのこと。
そうした米ロ緊張関係の下で、ロシアが「第二次世界大戦の結果、ロシア領となった北方領土」をやすやすと手放す可能性はあり得ない。
日本からの経済支援の見返りに「2島の主権を返還しても施政権はロシアが保有する」というのがプーチン大統領の得意とする柔道の「引き分け」戦術であろう。
これでは日本の悲願は達成されたことにはならない。
「自分の任期中に解決する」と焦って交渉すれば、相手の思うつぼにはまるだけ。
ぶっちゃけ、安倍首相にプーチン大統領の上を行く「隠し玉」戦略があるのだろうか。
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2.ベトナムは未来の大国への道をばく進中!
ぶっちゃけ、ベトナムの未来は明るい。
2019年の幕開けにあたり、各国が気にかけているのが、米中の貿易通商戦争であろう。
日本もそのあおりを受けざるを得ない。
アメリカは中国の経済、技術力の急発展が軍事的にも脅威になるとの懸念を抱いている。
マティス国防長官の代行に指名されたボーイング出身のシャナハン氏も初登庁の日に「アメリカの最優先課題」を問われて、「チャイナ、チャイナ、チャイナ」と連呼したほど。
まさに、「米中新冷戦」の始まりを思わせる状況だ。
実は、そんな米中対立激化から漁夫の利を得ようとしているのがベトナムである。
ベトナム人の耐久力の強さは歴史が証明している。
フランスの植民地から脱却し、中国との国境戦争にも負けず、ベトナム戦争では世界最強と見られたアメリカ軍を追い出し、独立を勝ち取った。
1億人近い人口を擁するが、パワーの源泉は平均年齢28歳という若さである。
共産党の一党独裁という政治体制ではあるが、柔軟な経済政策を追い求め、他のアジア諸国を圧倒する存在感を示している。
日本が主導的役割を果たしてきたTPPにも積極的に参加し、来たる1月14日に発効する自由貿易協定の恩恵を受け、輸出品への課税が95%もなくなるため、日本、カナダ、オーストラリア向けの輸出が一挙に拡大する見通しだ。
これまで中国製品が幅を利かしていた分野で、今後はベトナム製品が市場を席巻することになるだろう。
米中貿易戦争の煽りで、アメリカから中国製品が締め出される恐れが大きいため、中国に進出していた外国企業が相次いでベトナムに製造拠点を移し始めている。
サプライチェーンが大きく変動する中で、「チャイナ・プラス・ワン」の代名詞ともなったベトナムの占める役割は拡大の一途である。
2019年のGDP予測は6・7%と高く、インフレ率も失業率も4%を下回る。
しかも、貧困率は1・5%に過ぎず、周辺の東南アジア諸国とは大違いだ。
特に注目株といわれるのが「ビン・グループ」である。
ベトナム最大手の不動産開発やショッピングモール、病院、学校経営で知られる企業だが、昨年、ベトナム初の国産自動車製造会社「ビン・ファースト」を立ち上げた。
その後も、スマホ製造を開始し、韓国のサムスンへの最大の供給メーカーの座を獲得し、自前のブランドで国際市場へ打って出る準備を着々と進めている。
そんな活気溢れる若い国に魅せられ、トランプ大統領は既に2度も足を運んでいる。
日本も昨年はベトナムとの国交樹立45周年を祝ったばかり。
ぶっちゃけ、余り知られていないが、ベトナムは日本の政府開発援助ODAの最大の受け入れ国であり、日本語を学ぶ人口比率では世界1の親日国なのである。
日本にとって欠かせない未来の大国への関心をもっと高めたいものだ。
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