Vol.149 2019/07/05
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浜田かずゆき の
『ぶっちゃけ話はここだけで』
大阪G20サミットで一番得点を稼いだのは誰か?
ぶっちゃけ、鳴り物入りで開催された大阪G20サミットで
あるが、安倍首相の出番はほとんどなかった。
もちろん、日本商工会議所をはじめ、日本の経済界からは
安倍首相の指導力を評価する声も聞かれる。
首脳宣言の冒頭で「技術イノベーション、特にデジタル化を
通じて世界経済の成長を促す」という文言が織り込まれたこ
とを好感しての反応であろう。
加えて、「海洋プラスチック問題」の解決に向けても
「地球規模での取り組みに関し枠組み作りで合意を得た」と
いうのだが、「2050年までに新たな汚染をゼロに」という
のでは問題解決の先延ばしに過ぎない。
更に言えば、2008年のG20サミット発足以来、
明記されてきた「反保護主義」が昨年に引き続き、
明記されることはなかった。
安倍首相は「自由貿易の基本原則を明確に確認できた」と
胸を張るが、「アメリカ第一」を標榜するトランプ大統領へ
の忖度が最優先された結果である。
しかも、トランプ大統領からは「日米安保」の見直しを
求める発言も飛び出し、今後の日米貿易交渉においては、「為替」に加えて、「安全保障」まで取り引き材料にされかねないリスクを背負い込むことになってしまった。
参議院選が近いこともあり、内外に誇れる成果を上げ、ホスト役としての自らの存在感をアピールすることを狙った割には、期待外れの結果しか得られなかった安倍首相である。
幸い、米中首脳会談を通じて、中断していた米中貿易協議の再開が決まった。
アメリカは対中制裁関税を当面引き上げず、トランプ大統領はファーウェイへの米国製品の輸出容認の意向も示した。
とはいえ、今後の協議日程はあいまいで、第一、こうした米中間の歩み寄りは安倍首相が調整したわけではない。
アメリカ国内の産業界や農業団体からの強い突き上げを受け、「中国との関係改善をシンボリックに訴えなければ来年の大統領選挙への支持が得られない」との判断がトランプ大統領の対中強硬姿勢を緩和させただけの話。
また、トランプ流のディール手法を学んだ習近平国家主席の対応ぶりが功を奏した面も大きかった。
その一方で、日本政府の裏をかくように行われた中ロ印3か国首脳による極秘会談は「対米戦略のすり合わせ」の場となったようだ。
北朝鮮政策はもとより、イランからの原油輸入代金の決済を米ドルではなく、人民元やルーブルで行うことも決まったという。
明らかに、日米の同盟関係にくさびを打ち込む動きである。
ぶっちゃけ、安倍首相は寝首を掻かれたに等しいのだが、そのことにご本人は気づいていないのが玉に瑕といえるだろう。
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