Vol.156 2019/08/02
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浜田かずゆき の
『ぶっちゃけ話はここだけで』
2.父親の復讐を果たせないまま死亡した
オサマ・ビン・ラディンの息子
ぶっちゃけ、イスラム過激派の間には衝撃が走った。
ジハードのプリンス」と呼ばれたハムザ・ビン・ラディンが
30歳の誕生日を迎える前に命を失ったとの報道が流れたからだ。
言わずと知れた「世紀のテロリスト」オサマ・ビン・ラディンの一人息子である。
2001年の9月11日にアメリカを襲った同時多発テロ。
日本人も犠牲となったニューヨークの世界貿易センターが倒壊する映像はいまだに多くの人々の脳裏に焼き付いているだろう。
その首謀者であるとされたオサマ・ビン・ラディンは2011年、潜伏先のパキスタンでアメリカの特殊部隊に殺害された。
その後、息子のハムザはパキスタンからイラン、アフガニスタン、シリアを転々としながら、SNSを通じて、アメリカとその同盟国への「復讐テロ」を呼び掛けてきた。
しかも、同時多発テロで命を失ったアルカイダのリーダーの娘とイラン国内で結婚。
そのため、アルカイダにとっては「広告塔」であると同時に「未来の指導者」として重要な存在となっていた。
アメリカ政府は危機感を強め、何とかその居場所を突き止め、抹殺を試みてきたものだ。
本年2月には、懸賞金100万ドルをかけ、ハムザの居場所に関する情報提供を促してきた。
その成果が出たのかどうかは不明であるが、今週水曜日、アメリカ政府は「ハムザ死亡」との衝撃的なニュースを公表した。
現時点では死亡した場所と日付は不明であるが、NBCはじめアメリカのメディアが一斉に報じた。
記者会見でコメントを求められたトランプ大統領の発言は意味深であった。
曰く「その件にはコメントを差し控えたい」。
要は、肯定も否定もしないのである。
普段は大言壮語で、世間を驚かせる発言の主が、いたく慎重な姿勢に終始している。
実は、強硬派で知られるボルトン補佐官も同様の反応である。
逆に言えば、アメリカがその気になれば、イランに潜伏していたアルカイダのプリンスであっても、最終的には抹殺できる、というメッセージを発しているわけだ。
恐らく、アルカイダの内部に内通者を確保したということであろう。
更に言えば、出身地であるサウジアラビア政府は本年3月にハムザの国籍をはく奪。
ビン・ラディン・グループといえば、サウジアラビアで最大の建設会社であり、これまではサウジ政府は同社への配慮もあり、表向きはテロリスト一家といえども批判を控えてきた。
今回のハムザ死亡情報の公開は、サウジアラビア政府の方針転換に違いない。
ぶっちゃけ、未来の指導者を失ったアルカイダは「イスラム国」に吸収される可能性が高くなったといえるだろう。
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