Vol.156 2019/10/04
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浜田かずゆき の
『ぶっちゃけ話はここだけで』
真夏の東京オリンピックに間に合うのか、医療通訳不足問題
ぶっちゃけ、開幕まで1年を切った東京オリンピック・
パラリンピックだが、解決すべき問題が山積みだ。
その最たるものが暑さ対策である。
「命に危険を及ぼす暑さ」と言われるが、「ミストシャワー」や
「送風機」では、とても間に合いそうにない。
小池都知事は日よけの帽子を考案し、自らもかぶってはPRに努めているようだが、効果のほどは疑わしい。
オリンピック組織委員会では苦肉の策として、「人工雪」や「かち割り氷」の検討も始めたが、実験段階ではほとんど効果が立証されていない。
大手保険会社の予測では、「オリンピックの期間中、40万人の外国人観光客が日本の医療機関のお世話になる」という。
外国人も日本人も同じように熱中症や食中毒など、さまざまな体調不良に襲われる危険性が高いからだ。
問題は、こうした多くの訪日外国人が日本の病院やクリニックを訪ねても、言葉の障壁が立ちふさがるという点である。
実は、今でも日本の医療機関では外国人向けの「医療通訳」が確保できず、厳しい状況に直面している。
英語や中国語なら、理解できる日本人の医師や看護師が見つけやすいが、最近、急増しているベトナムやネパールなどアジア系や中南米のスペイン語系の来訪者となると、ほぼお手上げ状態という。
日本政府は「ビジット・ジャパン」とか「クール・ジャパン」と銘打ち、外国人観光客の呼び込みに熱心だが、医療面での「おもてなし」はお寒い限りである。
厚労省、国土交通省、外務省など政府機関も「医療通訳の必要性」は認識しているようだが、日本医師会などの反対もあり、効果的な対策は講じられないままだ。
医療の現場に医師や看護師以外の専門職が介在することへの
危惧があるという。
これでは医療通訳は無報酬のボランティアに依存することになってしまう。
残念ながら、医療通訳ボランティアでは「質のバラつき」が否めず、「動脈と静脈を誤訳するような“命を危険にさらす”ような
事例も後を絶たない。
このような危険な状況を改善するため、「日本医療通訳協会」や「通訳品質評議会」が設立され、安心できる質の高い医療通訳の育成と検定試験制度の運用に取り組んでいる。
しかし、まだまだ活動は緒に就いたばかり。
ぶっちゃけ、来年夏場のオリンピックに間に合うのかどうか、
大いに気になるところである。
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