Vol.168 2019/12/6
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浜田かずゆき の
『ぶっちゃけ話はここだけで』
1.日米の軍事専門家を圧倒した中国国防大学教授
ぶっちゃけ、中国の軍人出身の大学教授の迫力に日米の専門家は圧倒されっぱなしだった。
外務省の傘下にある日本国際問題研究所が創立60周年を記念して開催した「第1回東京グローバル・ダイアログ」での一コマである。安倍首相もお祝いに駆け付け、茂木外務大臣も大臣就任後初の外交演説を行った。
そんな世界が注目する国際問題のシンポジウムの初日に開催された全体会合でのこと。
テーマは「新たな米中戦略的競争と国際社会」。
進行役は防衛大学の國分良成校長。
パネリストはアメリカのハドソン研究所のマイケル・ピルズベリー上級研究員、慶応義塾大学の中山俊宏教授、元外交官で外交評論家の岡本行夫氏、そして中国国防大学の劉明福教授といった顔ぶれ。ハドソン研究所といえば、ペンス副大統領が厳しい対中政策の演説を行ったことで知られる保守派のシンクタンクである。
日米の安全保障の専門家が勢揃いし、中国の南シナ海における軍事拠点化や香港、台湾問題で中国の動きを警戒、批判する中、劉教授の弁舌が会場を圧倒した。
何しろ、人民解放軍「全軍優秀共産党員」の称号を得ているバリバリの軍人である。
しかも、近著『中国夢』は中国でベストセラーとなり、アメリカでも翻訳出版されている。
習近平国家主席の唱える「中国の夢」のベースにもなったといわれており、知的軍人の代表格に他ならない。
日米の専門家が展開する中国警戒論に対して、断固反対する趣旨の発言を繰り返した。
しかも、他のパネリストが着席したまま発言するのとは大違いで、毎回、立ち上がり、敬礼をした上で、身振り手振りを交えて、大きな声で反論するのである。
これには司会進行役の國分防大校長も唖然として制止することもできない。
会場を埋め尽くした500人ほどの聴衆もビックリ仰天。
その論旨は明快で「2049年までに台湾との統一を果たす。
攻撃の必要があれば、アメリカでの南北戦争で北軍が南軍を撃破した手法にならう」。
要は、北軍がアメリカ南部の海上輸送路を遮断し、南軍の武器調達を妨げたと同じ戦法を台湾に当てはめるというわけだ。
その上で、「アメリカの歴史から学ぶが、われわれはもっと上手に戦闘を終わらせる。南北戦争は4年もかかり、62万人が犠牲となった」とも発言。
北京政府が台湾を統合する際には、たとえ武力を行使するにしても、「素早く行い、流血も最小限に抑える」作戦を準備しているという。ぶっちゃけ、その自信満々の発言と軍人特有の戦闘的姿勢には日米の専門家は太刀打ちできないままで、あたかも白旗を上げたに等しい状況であった。
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