┏◆◇━2020年2月━◇◆
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┃ 経営者のための 事業承継ミニ情報 ◇第47号◇
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┗◆◇━━━━━━━━━◆◇━辻・本郷 税理士法人━◇◆┛
会社の経営権である株式を、後継者にどう承継すれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか、
承継の際の税金について、どう取り扱えば良いのか?
そんな疑問の解決に役立つ情報を、毎月1回配信いたします。
このミニ情報をご覧いただき、円滑で、そして税務上も有利な事業承継対策を
実現していきましょう。
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自社株贈与の前に遺留分の事を考えましょう!
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亡くなった方は生前に、遺言等により自らの財産の承継先を自由に決めることができますが、民法では、財産の相続権がある人の生活の安定や最低限の
相続人間の公平性を確保するために、亡くなった人の配偶者や子供に最低限の相続の権利を保障しています。
この最低限の相続の権利を「遺留分」といいます。
亡くなった人の遺言等の内容により、遺留分より少ない財産しか相続できなかった相続人は、その遺留分に足りない部分を、遺留分の額以上の財産を取得した他の相続人に対して、金銭の支払いにより補填してもらうよう請求することができます。
(民法第 1046条:遺留分侵害額請求権)
【遺留分の具体的計算】
遺留分の額
= (亡くなった人の相続時点の財産 + 過去に配偶者・子供に贈与した財産)
× 1/2 × 相続人の相続分
例えば、後継者に自社株式を集中して贈与すると、自社株式の価値が高額な場合には、他の相続人の遺留分を侵害することになり、遺留分を侵害された相続人から遺留分に相当する金銭の支払いを要求される可能性があります。
後継者は、通常、多額の資金を持たないケースが多く、金銭の支払いの原資として自身が贈与により承継した株式を売却するなどして資金を捻出するケースが少なくありません。
結果として株式が後継者に集約されず、円滑な事業承継を行う上で大きな
マイナスとなる場合があります。
中小企業経営承継円滑化法では、このような遺留分制度の弊害を解決するため、
後継者が先代経営者からの贈与等により取得した自社株式等について、
先代経営者の相続人となる方(推定相続人)全員の合意を前提として、遺留分について2つの特例を設けました。
(1) 除外合意
合意を締結した場合には、先代経営者からの贈与等により後継者が取得した
自社株式について、遺留分を計算する際に足し戻されなくなります。
(2) 固定合意
後継者が先代経営者からの贈与等により取得した自社株式は遺留分を計算
する際に 足し戻されますが、その価額を合意時の時価に固定する特例です。
贈与財産の遺留分計算への足し戻しは原則として相続開始前10年以内の
贈与とされますが、事業承継のため、自社株式の贈与を検討している方は、
その贈与により将来後継者が遺留分侵害額の請求を受けるリスクがないか
顧問税理士等と確認をしたうえで、株式の贈与数や遺留分の特例の適用を
検討するようにしましょう!
(担当:古澤 孝祐)
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