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        ┏◆◇━2020年3月━◇◆

        ◆┛

        ┃    経営者のための 事業承継ミニ情報 ◇第48号◇

        ◆┓

        ┗◆◇━━━━━━━━━◆◇━辻・本郷 税理士法人━◇◆┛

         

        会社の経営権である株式を、後継者にどう承継すれば良いのか?

        その際に、どんな点に気を付ければ良いのか、

        承継の際の税金について、どう取り扱えば良いのか?

        そんな疑問の解決に役立つ情報を、毎月1回配信いたします。

        このミニ情報をご覧いただき、円滑で、そして税務上も有利な事業承継対策を

        実現していきましょう。

         

        ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

        配偶者居住権の新設

         

        ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

        民法(相続法)の改正により、「配偶者居住権」が創設され、令和2年4月1日から施行されます。 今回は、配偶者居住権の内容についてご紹介します。

        【1】配偶者居住権とは

        配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が相続開始時に住んでいた自宅に

        終身又は一定期間、無償で住み続けることができる権利です。

        自宅の所有権は他の相続人が取得することができますので、配偶者居住権を設定すると、一つの建物に利用権と所有権の二つの権利が存在することになります。

        例えば、被相続人が所有していた自宅を子に相続させても、配偶者が配偶者

        居住権を相続することで引き続き自宅に住み続ける、というように利用されます。

         

        【2】具体的な影響について

        自宅の価値が高く、相続財産に占める割合が大きい場合には、遺言等で妻に

        自宅を相続させると、他の財産を妻に渡すことができなくなってしまうことが考えられます。

        例えば、

        ・夫が亡くなって相続人が妻と子

        ・遺産は自宅(3,000万円)及び預貯金(2,000万円)

        である場合を想定します。

        相続人同士の関係は良好ではなく、法定相続分(妻1/2、子1/2)で相続することに

        なると、妻の相続できる財産額は (3,000万円+2,000万円)/2人=2,500万円 であり、

        3,000万円の自宅を相続すると、500万円オーバーしてしまいます。

        妻が固有の財産を持っていれば代償分割をすればよいのですが、妻が財産を他に持っていない場合には、自宅を売却する必要が出てきます。

        そこで、自宅を利用権(配偶者居住権)と所有権に分けることで、配偶者居住権が

        1,500万円だと仮定した場合、妻は配偶者居住権1,500万円と預金1,000万円を相続し、子は自宅の所有権1,500万円と預金1,000万円を相続することで、妻は自宅を失うこと

        なく、預金も相続することができ、老後生活を安定させることができます。

         

        相続トラブルの例として、

        ・再婚で前妻の子がいるような場合など、複雑な家庭環境において遺産分割が難航・配偶者が自宅を相続したために、預貯金は子や被相続人の兄弟など他の相続人が 受け取ることに

        ・配偶者は住むところはあるものの生活費が足りなくなる

        というケースもありましたが、配偶者居住権制度の創設により、トラブル緩和の

        効果が期待されています。

        今後は、遺産分割における有用な選択肢の一つになるものと思われます。

        また、後継者に自社株を集中させる必要がある事業承継の場面においても、

        ・後継者には自社株式を

        ・非後継者である兄弟には不動産の所有権を

        ・配偶者には居住権を

        というように、先代の相続の際に対策を組みやすくなったといえるでしょう。

         

        一方、留意点として、配偶者居住権は登記が対抗要件となっています。

        配偶者居住権の登記をしない間に自宅が第三者に売却されてしまうと、第三者から退去を迫られることになってしまう可能性もありますので、配偶者居住権を取得する場合には、登記もセットで考える必要があります。

        また、税金面でも相続税額への影響や期中で解約・放棄した場合における課税関係など留意すべき点がありますので、事前に専門家への相談をおすすめいたします。

         

        (担当:真境名 元樹)

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