┌┬───────────────────────────2018年10月
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│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第82号
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■□ 海外相続と徴収共助・CRS ■□
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先日、ハワイで当社主催の海外相続税セミナーが実施されました。
ハワイに住んでいる日本人の方が中心で50名の応募があり、海外相続に関する
関心の高さをうかがい知ることができました。
さて、そんな海外相続ですが、最近知っておくべき2つの制度を紹介します。
特に海外に口座を持っている方や、海外の子や孫に対して財産を贈与しようと
思っている方は注意が必要です。
一つは、徴収共助という制度です。
これは、税金の滞納者の資産が他の国にあるときに、その他の国に税金徴収の
協力を依頼する制度をいいます。すなわち日本の税金を滞納している人が
海外に居住している場合に、その国の税務当局に日本の税金の徴収に協力して
もらうことができる制度をいいます。
もともとは、2013年からスタートした「税務行政執行共助条約」における
3つの取り組み(情報交換、徴収共助、送達共助)の一つであり、この条約には、
日本のほか、アメリカ、イギリス、フランスなど53の国や地域が締結しています。
日本の贈与税を滞納していたオーストラリア人が、この徴収共助制度により
8億円を徴収されました。この人は日本に住む親から数十億円の贈与を受けて
いましたが、贈与税を納税していませんでした。そこで日本の税務当局は、
まず日本の預金を差し押さえ、不足分をオーストラリアの税務当局に協力を要請し預金を差し押さえ、日本に送金してもらいました。
もう一つは、CRS(共通報告基準)という制度です。
これは、加盟している国が、それぞれの国の金融機関に開設された相手国居住者の口座情報を、年に一回交換するという制度で、イギリス、フランス、シンガポール、香港など、100以上の国や地域が参加しています。これにより、海外の銀行預金、保険、有価証券などは、日本の税務署も把握することができるようになりました。
CRS制度は2017年からスタートしていますが、日本では2018年9月からスタートしました。
日本でも、平成26年からの国外財産調書制度、平成27年からの国外転出時課税制度など、海外財産への国税の取り組みが強化されてきています。
海外に財産を移して日本の課税を逃れるというのは考えない方がよいと思います。
海外相続は、日本の税法も変わっていますし、国際的にも協力体制ができつつ
あります。ご心配な方は早めにご相談ください。
(担当:税理士 山口 拓也)
参考:エヌピー通信社「納税通信」
大蔵財務協会「税のしるべ」
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