危機とサバイバル
(新型コロナ関連―――
縄文道通信 第28号)
縄文道® と 利他主義
一般社団法人縄文道研究所
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Kenkyujo
新型コロナウイルスがパンデミックになり、世界人類の脅威になっている中、ジャック・アタリ博士の利他主義を引用させて戴いてきた。この危機にあたって世界のメデイアの中で、際立って発言力のある世界的知的リーダーの共通項はユダヤ系の方々が多いことだ。
今回は、彼らの発言要旨を縄文道の視点で考察してみたい。
ジャック・アタリ博士――利他主義(合理的な利己主義)ヨーロッパの知性、「危機とサバイバル」著者
ユバル・ノアー ハラリ博士――超権力、独裁からの自由と
世界的協力の精神、ヘブライ大学教授 世界的ベストセラー
「ホモサピエンス」「ホモデウス」著者
イアン・ブレマー博士――Gゼロ世界での連帯の重要性
ユーラシア・グループ代表 「Gゼロ世界」著者
ジャレッド・ダイアモンド博士――人類協同体の協働の精神
カリフォルニア大学地理学教授 「危機と人類」著者
マルクス・ガブリエル博士――普遍倫理と啓蒙主義の復権を
を希む新実在論・ 気鋭の哲学者 ボン大学教授
共通項は1.世界的な卓越した学者 2.ユダヤ系の系譜を有する 3・日本とは来日、講演、経験、書籍を通じて日本人への理解度が高い。
特に縄文道の観点からは、考古学、民俗学、地理学に該博な
ジャレッド・ダイアモンド博士は「縄文文化を世界史的な偉業と
讃えている。」
又ユバル・ノア・ハラリ博士は、現代人が文明の発達で失ったものが五感と六感で危機認知力が低下している。「狩猟、採集生活時代のーー縄文時代――に学ぶべきと」主張している。
ユダヤ系の世界的な考古学のフランスの故レビ・ストラウス博士は縄文文化を高く評価していた。特に来日時縄文土器と最初に出会い、「高度な技術と高い美意識がなければこの土器は作れないと喝破し縄文文化を高く評価した」
弊社設立時からのホームペイジ(URL-http://jomondo.jp) にはダイアモンド博士と共に写真付きで紹介しているので参考に願いたい。
ユダヤ系学者が何故世界的に活躍するか、今までの海外ビジネス体験、特にイスラエル、ベルギー、スイスでの経験や書籍、講演等で学んで得た理由は、以下三点と考える。
- 不可知論、形而上的な思考力―旧約聖書を基にしたトーラ、タルムードの影響。―生と死に常に向き合う危機意識
- 宇宙、地球規模での思考性と常に普遍性を視野に、各
学問領域で深く、且つ広く探求する。又学問的なグローバルネットワーク形成者である。
3.聖書の民として、旧約の出エジプト記から、アッシリア、バビロン、ローマと迫害され、イスラエル建国まで流浪の歴史を重ねてきた。その間、世界中どこでも生き抜いて行くための知的好奇心、探究心の強さがDNA で継承されている。
又過去20年間、日本イスラエル商工会議所、日本イスラエル
親善協会のメンバーとしてユダヤ人とお付き合いしてきた経験から言えることは、逆境をものともしない,たくましい生命力だ。
特に多くのユダヤ人が日本と日本人に対して親近感を抱いていることだ。恐らく知日派の代表格は日本に帰化した日本文学を
海外に紹介した第一人者、 ドナルド・キーン氏、経営学者で日本の経営者に多大な影響を及ぼし、浮世絵のコレクターとしても
著名な故ピーター・ドラッカー博士、そして「ジャパン アズ
ナンバーワン」の著者で、ハーバード大学教授のエズラ・ボーゲル博士がいる。
約14,000年の長期な歴史を持つ縄文文化は、ジャレッド・ダイアモンド博士の歴史的視座から見ても、世界に誇りうる偉大な文化だと思う。
縄文道の立場からは、ユダヤ系学者が提唱する人類の普遍的価値観と共通し共振する面があると思う。
一つは自然との共生、共存、共和の思想が、長期の歴史的
歩みの中で形成されたからだ。地球環境問題が問われるとき、
未だ国土の約70%が森林で、山紫水明の国だ。
二つ目は、長期に亘り人を殺傷する為の武器は作られた形跡がなく、人間殺傷率が、1.8%ト世界の他文明の平均10%以上と比較しても、平和を維持してきたのだ。青森県の日本最大の三内丸山遺跡も、集落規模が約500人位と言われるが、争った
武器を想像させる遺物は発掘されていない。
三つ目は男女分業体制が敷かれ、女性が対等に位置ずけられ、母性が尊重されていた社会であった。未だ世界的比較でも、日本の女性が家庭で財布を握っている現実は、欧米先進国でも
考えられない女権が強い社会なのだ。
最後は富の平等性、即ち自給自足・物々交換社会なので
共同体の共助の考えで、経済が営まれていたことだ。
以上の通り、縄文文化の縄文人の生き方を仮説設定した「縄文道」は新型コロナウイルスの危機にあたって、世界のユダヤ系知的リーダーが強調する価値観と一致していることだ。
現在新型コロナウイルスの治療薬、ワクチン開発分野において、熾烈なる競争が、世界規模で展開されている。
日本も世界と協調して、医薬、ワクチンにおいて貢献を期待したい。期待できる根拠は、縄文時代から醸成されてきた、対立関係を解決する、独自の思考方法にあると確信する。
この思考方に就いては別途 次号で紹介したい。
完