┏◆◇━2018年9月━◇◆
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┃ 経営者のための 事業承継ミニ情報 ◇第30号◇
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会社の経営権である株式を、後継者にどう承継すれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか、
承継の際の税金について、どう取り扱えば良いのか?
そんな疑問の解決に役立つ情報を、毎月1回配信いたします。
このミニ情報をご覧いただき、円滑で、そして税務上も有利な事業承継対策を
実現していきましょう。
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新事業承継税制の落とし穴
平成30年度税制改正において、平成30年4月1日より、事業承継税制(納税猶予)の特例措置が創設されました。従来からの制度を一般措置、新制度を特例措置と定義づけ、特例措置については、平成39年12月31日までの10年間の時限立法ではありますが、自社株の後継者への承継の際にかかる贈与税または相続税の負担を実質的になくすことが可能となる画期的な制度です。但し、この制度は万能ではなく、いくつかの落とし穴があります。
期待して制度を利用してみたものの、後で後悔することがないようご留意
いただければと思います。
【1.すでに一般措置を受けている場合 】
従来から事業承継税制(一般措置)があり、過去に利用して贈与または相続税の猶予を受けられた方もいると思いますが、今回創設された特例措置のほうへ移行することはできません。
一般措置よりも今回の特例措置のほうが優遇されているため、今回の改正の際に、そのまま移行できる制度であればよかったのですが、残念ながらそのような制度になっておりません。
但し、例えば親から子供へ一般措置による納税猶予の贈与を行い、その後子から孫へ特例措置による贈与を行う、ということは可能です。孫が今後10年内に後継者候補となりうるのであれば、親から子、子から孫へと納税猶予を受けることができます。
なお、一般措置による贈与税又は相続税の納税猶予を受け、その法定申告期限から5年間は株式を保有し続けなければならないため、3代にわたり適用する場合も、5年間待つ必要があります。
【2.納税猶予してから5年間は上場も代表辞任もできない 】
事業承継税制は、中小企業基本法に定める中小企業のみが受けられる制度であり、上場会社には適用されません。すでに上場されている会社や近い上場を予定されている会社には適用が難しい制度になります。
また、この制度は経営者の交代を前提としているため、後継者は代表者になる必要があり、代表者を続ける必要があります。
ただし、納税猶予を受けてから5年経過後は、上場も代表者の要件もなくなります。将来的に上場を検討されている場合には、早めに納税猶予を受ける計画を立てたほうが良いのではないで
しょうか。
(担当:村崎 一貴)
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