┌┬───────────────────────────2017年9月
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│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第69号
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└──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 http://www.ht-tax.or.jp/
辻・本郷 税理士法人の資産税の専門家が
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「資産家のための資産税ニュース」 毎月15日配信です。
(※15日が休日の際は、前営業日に配信いたします)
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■□ 2022年問題をご存知ですか? ■□
(このコラムは60秒で読めます)
【1.オリンピックの後の二番底?】
2020年の東京オリンピック後の不動産市況に興味をお持ちの方は多いと思いますが、その2年後に、いわゆる「2022年問題」が存在することをご存知でしょうか。
2022年は改正生産緑地法が施行された1992年から数えて30年目にあたります。
つまり、1992年当時に生産緑地の指定を受けた大量の生産緑地が30年間の営農義務から解放される年が「2022年」なのです。
これは農家の方の問題だから自分には関係ない、と看過するわけにはいきません。
生産緑地を所有する農家の方が取り得る選択肢としては、
(1) いつでも買取りの申出ができる状態のまま生産緑地を維持する
(2) 特定生産緑地の指定を受けて営農義務期限をとりあえず10年間先送りする
(3) 買取り申出をして生産緑地を解除し開発行為を行う
の3点となりますが、(3)を選択する農家の方が多発した場合には、大量の土地が一気に市場に供給されることとなり、不動産市場が大きく荒れる可能性があるからです。
【2.生産緑地については2018年問題も・・・】
生産緑地が抱える目前の問題として、2018年問題というものがあります。
つまり、相続税評価における「広大地」の改正です。
2018年以後の相続・贈与については、従来の「広大地補正率」は廃止され、
新たに設けられた「規模格差補正率」により評価することとなります。
生産緑地の場合は、宅地利用されている土地よりも地積が大きいことが一般的です。
「広大地補正率」と「規模格差補正率」は、地積が大きければ大きいほど改正前後の減額割合が大きく乖離することとなりますので、広大地の改正が生産緑地の存続に与える影響は大きいといえます。
たとえば、現行の広大地補正率の適用により評価額が抑えられることで、生産緑地を手放さなくても手持資金で納税ができていた農家の方が、改正後の生産緑地の評価額アップにより、生産緑地を解除して売却しなければ納税できなくなるなど、相続税の資金調達のための生産緑地の売却が、2018年以降にはさらに増える可能性があります。
【3.生産緑地については事前準備が必要】
農業後継者がいる場合には、「農地等の納税猶予」の適用を受けることで広大地改正による相続税の増加をヘッジすることが期待できます。ただし、この場合は農業後継者に終身営農が求められますので、その是非についてご家族で十分に検討する必要があります。
2022年が到来したら生産緑地をどうするか、相続が起きたらどうするか…。
その時になって慌てないためにも、事前の準備が急務といえます。
(担当:税理士 前田 智美)
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