┌┬───────────────────────────2018年6月
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│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第78号
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辻・本郷 税理士法人の資産税の専門家が
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「資産家のための資産税ニュース」 毎月15日配信です。
(※15日が休日の際は、前営業日に配信いたします)
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■□ 家なき子の改正と経過措置(小規模宅地等の特例) ■□
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【1.小規模宅地等の特例と家なき子とは】
2018年4月1日から、小規模宅地等の特例について要件の一部が見直されました。
そもそも小規模宅地等の特例とは、亡くなった方が住んでいた自宅の土地であれば、配偶者の方や、亡くなった方と同居していた親族が取得した場合、通常の土地の評価額に対して、330平米まで80%減額することができるという制度です。
これは、相続税大増税の時代においては特に、とても大きな効果がある特例といえます。
このような特例が設けられている趣旨は、配偶者の方や、亡くなった方と同居していた親族が自宅として使用している土地を、相続税を払うために売却しなくてはならない、といった状況がおこらないようにするための配慮です。
ですが、配偶者や同居の相続人がいない場合には、別居の親族であっても、持家に住んでいない親族(いわゆる家なき子)が取得すれば、親が亡くなった後実家に戻ることを想定して、同じく小規模宅地等の特例を受けられることとなっています。
【2.家なき子の範囲が見直されました】
今回、2018年度の改正により見直されたポイントは、いわゆる家なき子の範囲です。
改正前の家なき子は、相続開始前3年以内に国内にある本人またはその配偶者が所有する家に住んだことがない方が対象者でした。
しかし、家なき子になる状況を意図的に作る節税対策が多く行われていたことが問題視され、改正後は下記に該当する方が、その対象者の範囲から除外されることとなりました。
・相続開始前3年以内に、3親等内の親族または特別の関係のある法人が所有する、国内にある家に住んだことがある方
・相続開始時に住んでいた家を過去に所有していたことがある方
これにより、本人または配偶者の持ち家に住んでいなくても、例えば、親に購入してもらった家に住んでいる方や、贈与や売却により自宅の名義を親族や経営している会社に変えている方については、家なき子に該当しないこととなりました。
したがって、家なき子とは、過去3年間借家暮らしであった別居親族と考えていただくと良いでしょう。
【3.経過措置と今後取るべき対策】
この改正は2018年4月1日以後に発生した相続または遺贈について適用されますが、一定の経過措置が設けられています。2018年4月1日から2020年3月31日までの間の相続または遺贈であれば、2018年3月31日において改正前の家なき子の要件を満たし、相続開始時点においても改正前の要件を満たす方であれば、従来どおりの家なき子の要件を適用して特例が受けられることとなっています。
この措置によりしばらくの間は特例を受けられる方が多くいらっしゃると思いますが、相続はいつおこるかは分かりません。その時になって特例が適用できないと慌てないためにも、事前の準備が急務といえます。
すでに相続対策を行ったことがある方も今一度、税理士までご相談されることをお勧めします。
(担当:税理士 原 有美)
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