ソムリエの追言 52
「ワインの選び方 ヴィンテージ」
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そろそろハーベストの時期である。
「この92年は、豊作?」
と、ワインリストを手にした男性の言葉。
「いえ、豊作というより、天候不順です、が・・・・」
説明を続けようとするその言葉をさえぎるように、
「じゃあ、このワイン飲んでみたいんだけど」
「良い年ではないですけど宜しいんですか?」
「このワインって、昔出来の悪かった息子って感じだろ」
「え、?」
「だから、手が掛かったけど、立派に世に出たんだろ。」
実におもしろい考え方でした。 逆説的な考え方です。
そして、それが見事なまでに本質を突いているのです。
ヴィンテージチャートなるものが存在します。
天候から、ブドウのあくまで一般的な作柄の良し悪しを 数値にして総合的に評価するものです。 良い評価にばかり気にかけてしまいがちですが、
本来のこのチャートの目的は、別のところに有るのです。
農作物の面と熟成するものとしてのワインの特性を 表したものなのです。
つまり、天候が良くてブドウの状態がよければ、
それだけ濃縮したワインとして出来上がり、熟成耐性もあがり、
飲み頃を迎えるまで時間がかかります。
一方、ブドウの状態がよくなければ、熟成耐性は下がるので、
飲み頃を迎えるのが早くなります。
そう、飲み頃の目安を伝えることが目的の一つなのです。
そして、もう一つ言える事は、ヴィンテージの良くないとされるワインは、
ある意味努力して作られているということです。
良いときは手を加えなくてもよい、
だからこそ、よくない時に 手をかける、大事にする。
今回の男性のワインの選択もそんな精神を持っていた方だからこそ、
そのワインの魅力的な時期に出会ったのです。
実際、そのワインにとって、飲み頃を迎え始めた味わいで満足されていました。
もちろん、味わいは良い年のほうが大概、美味しくなります。
しかし、飲むべき時期を迎えているものから飲むことこそ
ワインの楽しみ方に通じている気がするのです。
注意すべきは、ヴィンテージチャートはあくまで目安であり、
産地・生産者によってブドウの生育状況が異なること、
また 各発表団体毎によってチャートの指標も異なることを付け加えておきます。
ぜひとも、ヴィンテージチャートを参考にしたワイン選びをしてみてください。
【 道上 雄峰 】
幼年時代フランス・ボルドーで育つ。
当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。
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