ソムリエの追言 62
「甘口ワインって、いつ飲むの?」 無限に広がる料理とワインの世界。 ニューヨークで行なわれた14人の晩餐会。 生牡蠣に合わされたワインはドイツ産甘口のリースリング。 時に西暦1883年。 当時の人々は、後に「生牡蠣にシャブリ」という組み合わせが定番になるとは、誰も知らない。
ニューヨークだけではなく、 これはヴィクトリア朝のヨーロッパ諸国も認める公式な組み合わせ。 もちろん、シャブリもあわされていたようですが。 今、日本のレストランでこの組み合わせを行なったら ソムリエに ビックリされるでしょうねぇ。というか、止められるかも? その後、生牡蠣とワインの組み合わせも、甘口から、 徐々に 辛口ワインへとどんどん変わっていったようで・・・。 しかし! 現代でも、バルサックという甘口ワインの産地では、 生牡蠣に貴腐ワインをあわせているとか。 みんな造り手は自分のワインに誇りを持っています。 そのワインがこの料理に合わないなんて考えませんから。 他の産地のワインを進んで飲むはずがないです。 まずは自分のワインから! 1833年の晩餐会メニューには、更に ロブスターの網焼き、 鶏のブイヨンとクリームソースに、 シャトー・ディケム。 と、豪華に続いています。
ところで、現代の貴腐ワインの組み合わせといえば 「フォアグラのソテー」でしょう。 もはや貴腐ワインとの定番の組み合わせになってます。 最近では 「北京ダック」と貴腐ワインの相性もいいと聞きます。 これまた高額な組み合わせでしたね。 どちらも脂があり、味付けに甘味を伴うソース・たれが使われているので 相性バッチリです。
日本の伝統料理「おせち」にあわせてもいいですね。 日本のワイン研究家によれば 貴腐ワインにはカズノコがあうとか。 貴腐ワインのグルコン酸が数の子の苦味を消すという性質がいいらしいです。 でも想像するには、甘さが合うというより、 甘さの中にある酸味がうまく料理とワインを取り持つのではないでしょうか。 特に貴腐ワインの甘味以外の旨味やミネラルも、料理を引き立てていると思います。 決して高額なもの同士だから合うということではないと思います。
こうした伝統や、 甘口ワインと料理の組み合わせがあるということ、知っておいてもいいと思います。 もちろん貴腐ワインだけでなく、陰干ししたものや、 ブドウを凍らせてつくる甘口ワインにも当てはまるでしょう。 以前、このメルマガでも言及したことがありますが、 甘口ワインの消費量が減ってきているそうです。 通り一遍の組み合わせではなく、 昔のような、開拓精神あふれた 甘口ワインとの組み合わせを探していくことが、 甘口ワインがより身近に感じられると共に、 甘口ワインの未来をつないでいくように思います。
【 道上 雄峰 】 幼年時代フランス・ボルドーで育つ。 当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。 ================================================== ■配信者情報 ================================================== ※ 当サイト・メルマガに掲載されている全ての内容 (画像、文章、動画など)は すべてMICHIGAMIワインの財産であり、著作権法で保護されています。 これらすべての無断転載・無断複製・模倣を禁じます。 MICHIGAMIワイン通販サイト http://www.michigami.com/ 運営:道上商事株式会社 〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-8-26 巴町アネックス5階 TEL:03-5473-0607 FAX:03-5470-9787 wine@michigami.com