ソムリエの追言 63
「ワインのスタイルを決める気候と雨」 まだまだ日中は暑い日が続きますね。 厳しい環境は人間にとっても、ブドウにとっても つらいです。 ブドウも30℃以上では、光合成(こうごうせい)の働きが悪くなるようです。
呼吸の方が多くなるようなんです。ちなみに 5℃以下では 光合成がおこなわれないそうな。 ところで、植物の活動のリズムは、我々とは違います。 暦(こよみ)や時間なんて、人間だけのものですからね。 光も活動リズムにとっては大事なんですが、 根の成長、芽吹き、開花や実をつけるなど、 そういった植物の成長に関わってくるのが温度・気温なんです。 その気温は、各地の気候によって様々です。 フランスでも、ボルドーとブルゴーニュでは、気候が違います。 ご存知ボルドーは、大西洋のすぐ近く。 この地は、海洋性気候の恩恵を受けています。 海の温まりにくく、さめにくいといった水の特徴によって、 昼と夜、季節ごとの寒暖(かんだん)の差が激しくありません。 また、暖流(だんりゅう)の影響で、比較的、緯度(いど)が高い地域ながらも あまり寒くならないようです。 大陸性気候のブルゴーニュ地方が、冬に氷点下になることを考えれば、ボルドーの海洋性気候は、ブドウの樹にとって過ごし易い気候・場所であるといえます。 海洋性気候のもう一つの特徴は雨です。 低気圧によって、雨が多い時期と、晴れ間の多い 安定した時期とが、不定期にやってきます。 そうは、いっても、年間の降水量は、東京や日本のワイン生産地よりも少ないです。 また、夏から秋にかけての雨が少ないのも、ワイン作りにとって最適です。 実はこの雨の降り方が、できあがるワインに影響を与えるんです。
ボルドーでは、ご覧の通り、ブドウの生育期4月から9月末までの 降水量がだいたい400mmくらいです。 一方、同じブドウ カベルネ メルローも使うカリフォルニアは 全くというほど雨が降りません。同じ6ヶ月で、なんと50~60mm! ボルドーの8分の1です。 ワイナリーによっては、水分がたらなくて、水を補給する設備を 用意しているところもあるくらいですから。 日照量の多さと温度も手伝って、どんどん、果実の成分だけが 濃くなっていく。 だからこそ、ワインにあれほどの、果実の凝縮感(ぎょうしゅくかん)が生まれるんですね。 また、反対に日本の気候では、できあがるワインは、その対極で、どうしても 水っぽさを感じてしまうんですね。特に赤ワインです。 この頃はどうなんでしょうか、品質が上がってきていると聞いてますが・・・。 そんな意味では、ボルドーの海洋性気候がもたらす雨の恵みは ボルドーワインのエレガントさを造り出す、重要なエッセンスなんですね。 長い歴史の中で気温、雨、土壌 を含めてその地に最適なブドウが 根付き、その魅力を発揮してきたのがボルドーワインです。
【 道上 雄峰 】 幼年時代フランス・ボルドーで育つ。 当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。 ================================================== ■配信者情報 ================================================== ※ 当サイト・メルマガに掲載されている全ての内容 (画像、文章、動画など)は すべてMICHIGAMIワインの財産であり、著作権法で保護されています。 これらすべての無断転載・無断複製・模倣を禁じます。 MICHIGAMIワイン通販サイト http://www.michigami.com/ 運営:道上商事株式会社 〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-8-26 巴町アネックス5階 TEL:03-5473-0607 FAX:03-5470-9787 wine@michigami.com