寮のベッドに横になりながら除の日記を読む劉。
日記には五十嵐に対する感謝、そしていつか必ず中国は世界の経済大国へと発展する、自分はその礎になり、出世して必ず五十嵐さんに恩返しをしたいと書かれてあった。
日記を途中で閉じ、この同じ部屋にかつて除という人間がいて、色々なことがあったのだと想いを馳せる劉。
すると屈が部屋にやって来る。
劉はもうすぐここを出なければならないことを知るのだった。
寮では学生たちが集まって話し合いが行われた。
何とか立ち退かなくても済む方法はないだろうか?
しかし答えは見つからない。
こんな時に学生たちが一番に思い出すのが五十嵐だった。
五十嵐さんだったら何とかしてくれるんじゃないだろうか?
誰ともなく、そんな意見が出始める。それに猛反対したのが屈だった。
もう五十嵐さんは充分にやってくれた。
これ以上迷惑を掛ける訳にはいかない、と言うのである。
結局大家さんに直談判しに行くことになるのだが、むげに追い返されてしまうのだった。
引っ越すと言っても日本の家賃は高い。
中国人に貸したがらない所も多い。
五十嵐に頼るべきではないとは言ったものの、屈たちは追い詰められていた。
部屋に戻り、買ったばかりのノートを開く劉。
先輩、私たちは追い詰められています。
こんな時、先輩だったらどうしますか?と、日記帳に書く劉。
何か良いアイディアはないものかと考えるが、何しろ日本に来たばかりである。アイディアどころか、日本がどういう国なのかもまだあまり分かっていない。
結局ベッドに横になり、何かヒントはないだろうかと除の日記を再び開くのだった。