Vol.224 2021/02/05
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浜田かずゆき の
『ぶっちゃけ話はここだけで』
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ミャンマーで軍事クーデターが成功したワケ
ぶっちゃけ、かつて「ビルマ」が国名だった「ミャンマー」で国軍が政権を掌握するというクーデターが2月1日に起き、日本を含む世界が「寝耳に水」と驚いた。
しかし、英国から独立した1948年以来、ビルマ時代から今日まで、ミャンマーではクーデターや軍による民主化弾圧事件などが何度も起きており、一般国民の間では「またか」といった反応である。
ちなみに、国名が「ミャンマー」と変更されたのは1989年のことで、軍事政権による「鶴の一声」で決まった。
そのため、アメリカ政府はいまだに「ミャンマー」という国名を認めず、今回のクーデターを非難する声明でも相変わらず「ビルマの人々の民主化を支援する」としているほどだ。
とはいえ、ノーベル平和賞を受賞し、国民の間で絶大な人気を誇るアウン・サン・スーチー女史が「軍部のクーデターを容認するわけにはいかない。民主化のために皆で立ち上がろう」と呼びかけているが、首都ネピドーでも最大都市ヤンゴンでも表立った反軍部デモは見られない。
というのも、軍部の力が絶対的に強いことに加え、多くの国民は敬虔な仏教徒であり、激しい対立や流血を好まない性格が影響しているからだろう。
今回のクーデター直後も、市民の間ではせいぜい鍋やフライパンをたたいて抗議の意思を示す程度である。
一部の医療機関では「軍部への非服従」を掲げてはいるが、新型コロナウィルス感染者が15万人へと拡大し、死者も3000人を超えているため、抗議活動は限られる。
インドから英国製ワクチンの緊急提供を受け、コロナの押さえ込みに必至で取り組んでおり、医療従事者による反軍事政権ストライキは掛け声倒れに終わりそうだ。
残念ながら、ミャンマーの医療水準は遅れており、世界銀行からの財政支援を受けながら、ようやく医薬品や医療機器を調達している状況である。
過去の軍事政権下では国民の安全や健康は二の次にされてきた。
2008年に発生した巨大サイクロンによって14万人もの命が失われた時にも、国際社会からの支援を拒絶したほどである。
政権を掌握した国軍は2月2日、早々に組閣を完了させた。
スーチー女史の任命した大臣はことごとく罷免させられたが、コロナ対策に当たっている保健省では大臣の首は切られたものの、副大臣が昇格することになった。
軍事政権といえども、コロナ対策に関しては継続性を持たせようとの意思表示に違いない。
京都大学に在籍した経験もあり、讃岐うどんが大好物の親日家スーチー女史の政権下で、人口6000万人の市場経済化に取り組むミャンマーに期待し、日本企業は450社ほど進出している。
ぶっちゃけ、軍事政権下では新規の投資やビジネス展開は滞ることになるだろう
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