┏◆◇━2021年2月━◇◆
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┃ 経営者のための 事業承継ミニ情報 ◇第59号◇
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┗◆◇━━━━━━━━━◆◇━辻・本郷 税理士法人━◇◆┛
会社の経営権である株式を、後継者にどう承継すれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか、
承継の際の税金について、どう取り扱えば良いのか?
そんな疑問の解決に役立つ情報を、毎月1回配信いたします。
このミニ情報をご覧いただき、円滑で、そして税務上も有利な事業承継対策を
実現していきましょう。
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所在不明株主に関する株式の処分期間が短くなる見通しです
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所在不明株主とは、会社の株主名簿には載っているものの、登録されている住所に5年以上郵便が届かず、また、配当の受領もない株主のことをいいます。
所在不明株主で問題になるケースとしては、ある日突然高額で自社株式の買取りを要求されたり、株式を集約する上で直接の交渉ができない、といったことが想定されます。
対処法として、今の法律では以下の要件を満たし手続きを取ることにより、所在不明株主の保有する株式を整理することが可能となっています。
【要件】
次の全ての要件を満たす必要があります。
(a) 株主に対する郵便(通知又は催告)が5年以上継続して届かないこと
(b) 継続して5年間、その株主が配当を受領していないこと
(c) 株券喪失登録が行われていないこと
【手続き】
(1) 所在不明株主に対して、一定の期間内(3か月以上)に所在不明株主の保有する株式を売却することについて、異議を述べることができる旨などを公告
(2) 所在不明株主に郵便で通知
これらの手続が全て完了した場合には、以下のいずれかにより株式を処分することとなります。
【原則】
裁判所の決定した価額により株式を競売にかけ、その代金を株主に交付します。
【例外】
取締役全員の同意に基づき、裁判所の許可を得ることにより、株式を買取る人を指定して売却します。
このように、所在不明株主の株式を処分するには長い年数が必要となっていましたが、2021年度の会社法の改正で、一定の要件に該当する会社(特例株式会社※)については、現行要件(a)(b)の期間を5年間から1年間に短縮するという法案が通常国会に提出されました。
この法案が可決されれば、所在不明株主への対処のハードルが格段に下がることになると思われます。
所在不明株主は会社における潜在的なリスクとなり、また、事業承継を視野に入れた組織再編などを検討する上で障害となりますので、法案が可決されるかどうか、今後の国会の動向に注目したいと思います。
※特例株式会社
中小企業の株式会社の代表者が、年齢や健康状態などにより安定的な経営を行うことが 難しく、今後の事業継続に支障が生じている場合で、その一部の株主が所在不明である ことで、代表者以外の人に経営を承継させることが困難であり、経済産業大臣の認定を 受けた会社をいいます。
(担当:古澤 孝祐)
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