Vol.228 2021/04/02
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浜田かずゆき の
『ぶっちゃけ話はここだけで』
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内戦突入の可能性が高まるミャンマー:軍隊を持つ少数民族の抵抗
ぶっちゃけ、ミャンマー(旧ビルマ)情勢は収まりそうにない。
3月31日、国連の安全保障理事会は緊急会合を開いたが、何ら合意には至らなかった。
去る2月頭に発生した国軍によるクーデターによって、最高指導者であるアウン・サン・スーチー女史は職権を奪われ、軍による監禁状態に置かれている。
既に2カ月に及ぶ獄中生活にあるため、75歳のスーチー女史の健康を案じる声は日増しに大きくなっている。
3月31日にスーチー女史とネット上で会見した弁護士チームによれば、「見たところ健康面では問題はなさそうだった」とのこと。
とはいえ、以前のような自宅での軟禁状態とは違い、軍の施設での隔離であるため、肉体、精神両面での苦痛は想像に難くない。
クーデターに反対し、スーチー女史らの解放を求める市民のデモに対する弾圧は厳しさを増しており、既に死者は520人を超えている。
国際社会からは強権的な軍部の動き対する批判は高まるものの、効果的な対策は打ち出せないままだ。
アメリカ政府はミャンマー在住の外交官やその家族を本国に召還する命令を出した。
日本はミャンマーにとって最大の経済支援提供国であるが、政府は今回の事件を受け、新たな援助は全て凍結する決定を下した。
「アジア最後のフロンティア」と目され、経済成長が期待されていたため、日本企業も400社以上が進出していたが、ビジネスの再開はしばらくの間は難しいだろう。
実は、ミャンマーは20を超える少数民族が中国、タイ、バングラディシュ等との国境地帯に暮らしている。
彼らは皆、自衛のための軍隊を有しているのである。
そうした少数民族の軍隊が軍事クーデターに反対する市民と共闘する動きを見せ始めている。
既にカチン族やカレン族の軍隊は国軍や警察部隊への攻撃を始めており、双方に死傷者が出ている模様である。
特に勇猛果敢で知られるカレン族による攻撃は凄まじく、東部カイン州にある国軍の基地を占拠してしまった。
奪われた基地を奪還しようと、国軍は大規模な空爆も始めた。
こうした内戦に近い状況が発生しているため、難民も急増している。
国境や少数民族問題に手を付けることを避けてきたスーチー女史であったため、国軍からすれば、この機に少数民族の軍隊を一掃し、名実共に国家の統一を果たそうとしているに違いない。
ぶっちゃけ、出家し日本への帰還を拒んだ『ビルマの竪琴』の
水島上等兵の霊が偲ばれる。
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