Vol.236 2021/06/04
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浜田かずゆき の
『ぶっちゃけ話はここだけで』
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英国海軍が南シナ海に最新鋭空母を派遣する狙い
ぶっちゃけ、「南シナ海の波高し」といった状況が出現しつつある。
英国海軍が誇る最新鋭の空母「クイーン・エリザベス」が母港を出港し、地球を半周する形で南シナ海へ向かっているからだ。
どこの国の海軍でも同じだが、空母が単独で行動することはあり得ない。
虎の子の空母を守るため、多くの護衛艦が帆走するのが習わしとなっている。
何しろ、日本円換算で1兆3000億円も投じて建造した空母であり、初の遠征である。
経済的に厳しい英国にとって、巨額の予算がかかる空母の建造には当初から疑問の声や反対の動きも出ていた。
しかも、英国が香港やシンガポールを押さえていた頃ならいざ知らず、アジアにおける権益は既にない。
フランスやスペインの漁船が英国の領海で違法操業を繰り返しているため、その取り締まりに海上警備が必要とされてはいるものの、1兆円をはるかに超える空母を建造する理由は見当たらない。
かつて「7つの海を支配した」大英帝国の名残であろうか。
いずれにせよ、無用の長物と批判に晒されてきた新型空母にようやく出番が回ってきた。
ただ、英国海軍では十分な護衛艦を手配できないため、アメリカとオランダの海軍が駆逐艦や補給艦を同行させることになった。
その上、熟練した乗組員も少ないため、空母の乗員1600人の内、200人はアメリカ海兵隊員という人員構成だ。
しかも、F-35戦闘機が18機搭載されているが、10機はアメリカ人パイロットが操縦桿を握るという。
何やら「介護サービス付き」の空母派遣といった雰囲気である。
もちろん、今回の英国の空母派遣は南シナ海でのアメリカや日本との合同訓練に参加することが目的で、中国が進める海軍力の
増強や覇権主義的行動を抑制しようとするもの。
アメリカはインド太平洋地域への関心を高めているが、一国あるいはインドやオーストラリアとの連携では不十分と判断し、NATOの同盟国である英国に声をかけたわけだ。
実は、フランスもアメリカの要請に応じる形で、南シナ海へ海軍を派遣しつつある。
要は、今や最強のライバルとなった中国に対抗するため、連合国による共同戦線を張ろうという魂胆が透けて見える。
ぶっちゃけ、台湾海峡に限らず、南シナ海を含むインド太平洋地域で一触即発の危険が迫りつつあるといえるだろう。
火星への移住計画を進めるイーロン・マスク氏が懸念するように、「地上では戦争が絶えず、地球には住めなくなる」予兆かも知れない。
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