五輪中止と日本の一新(所感)
令和3年6月6日
村田光平
(元駐スイス大使)
皆様
6月11日から開催されるG7で、東京五輪「中止」を発表するのではないかという観測がネットで浮上しております。他方尾身会長は6月20日頃までに開催の是非についての立場を明確にすると述べております。
この際、東京五輪の中止、そこから日本の一新が始まるとの視点から所感を述べさせていただきます。
再処理の禁止、再稼働の禁止は緊急課題です。
更に、日本の脱原発の国際化、そのための国連倫理サミットの開催が視野に入ります。
「安全を大前提に」の聞き飽きた唱え文句で原発の存続を正当化するのは最早黙認すべきではない筈です。
放射能の実害から目をそらしてこの期に及んでなお原発の残存・
推進する責任者は「人間失格」の誹りを免れ得ない筈です。
「迷惑をかけない」という倫理が忘れられており、不道徳と断じ得ます。
市民社会が当初から東京五輪の挫折を予見したのは、今なお有効の原子力緊急事態宣言を無視しての招致、フクシマ事故に由来する放射能の危険性無視、世界を欺く「under control」発言等に見られる
無責任性かつ不道徳性が認識されたからです。
不道徳の永続を許さない歴史の法則は、このたび五輪が中止されるに至れば実証されることになります。
このような立場からすれば、今後の最高指導者にも求められる資質は徳性であると信じます。
5日夕刻にTBSテレビが特集番組で報じた五輪組織委員会職員による五輪の放漫予算処理振りの告発は世論の厳しい反発を招くことは必至です。
五輪の抜本的改革は不可避となったと思われます。
来年中国で開催予定の冬季五輪の開催にも影響が及ぶ可能性が無視できなくなりました。