┌┬───────────────────────────2021年6月
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│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第114号
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■□ 税務署の超富裕層への取組み 強化 ■□
(このコラムは45秒で読めます)
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【1.超富裕層を対象にした特別な管理体制】
ここ数年、税務署の「超富裕層」に対する取り組みが強化されています。
2017年に全国の国税局等で、超富裕層を対象にした「重点管理富裕層プロジェクトチーム」が置かれました。その後、2018年には、東京、大阪、名古屋、関東信越国税局管内の一部の税務署で、 重点管理富裕層ほどではないものの、一定の富裕層を「上位富裕層」と位置づけ、特別な管理の対象としています。
そして現在、各国税局の実情に応じて「上位富裕層」に対する取り組みが全国的に広がっているのです。
【2.超富裕層とは??】
超富裕層とはどんな人を指すのでしょう?一概には言えませんが、「見込保有
資産額が特に大きい者」等が想定されているようです。
では、「特に大きい」の基準は何なのでしょう?こちらは、各国税局の実態に
応じて、選定される金額基準は異なるようです。全国統一の明確な金額基準などは、今のところなさそうです。
【3.特別な管理体制とは?】
通常、税務署では部門ごとに法人、個人の情報を管理し、税務調査の事案ごとに必要に応じて連携をとります。
一方、重点管理富裕層または上位富裕層に関しては、法人、個人の垣根を超え、
各部門の担当者がチームを組んで、対象となる個人やその関係する法人等の
情報を日頃から一体的に管理し、チーム自ら調査に取り組むこともあるとの
ことです。
【 4.この取組みが高い成果を生んでいる?】
このように全国的な広がりを見せている富裕層への管理体制ですが、
全国に先駆けて上位富裕層への取り組みが行われていた東京、大阪、名古屋、
関東信越国税局管内では、今やほぼ全地域に管理体制が拡充されて
いるそうです。
こうした取り組みの成果か、 例えば東京国税局では、 富裕層に対する
税務調査の結果が高い水準を見せています。
令和元年事務年度の申告漏れ所得金額は、前年比115%の395億円、
追徴税額は前年比184%の142億円となっています。また、このうち海外投資等をした富裕層への調査結果では、 申告漏れ所得金額は、前年比155%の
273億円、追徴税額は前年比309%の108億円という結果が出ています。
税務署が海外投資に高い関心を示していることも伺える結果となっています。
(担当:税理士 井口 麻里子)