┌┬───────────────────────────2022年3月
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│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第123号
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└──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 www.ht-tax.or.jp/
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(※15日が休日の際は、前営業日に配信いたします)
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■□ あなたも財産債務調書の提出義務者になるかも!? ■□
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【1.令和4年度税制改正 】
令和4年度税制改正で財産債務調書制度が見直されました。
まず、財産債務調書の提出義務者ですが、従来は所得2,000万円超、かつ、
総資産3億円以上または有価証券1億円以上を有する方が対象だったのですが、
これに「総資産10億円以上」を有する方が加わります。
追加で加わった「総資産10億円以上」を有する方については、所得がいくら、
なんていう要件はなく、所得がどんなに少なくても総資産10億円以上お持ちで
あれば、財産債務調書の提出が必要となるのです。
また、財産債務調書の提出期限ですが、従来確定申告書の提出期限と同じ、
翌年の3月15日だったのが、翌年の6月30日となりました。納税義務者の
負担を考慮して、ということのようで、国外財産調書も同様に翌年の6月30日となります。
これらの改正は、令和5年分以後の財産債務調書および国外財産調書に適用
されます。
【2.提出義務者の範囲が広かったワケ】
財産債務調書は、前身は財産債務明細書というもので、所得金額が
2,000万円を超える方が提出する必要がありました。
それが平成27年度税制改正によって、財産債務調書という制度が創設され、
提出が義務化されたのです。罰則も設けられました。
この際、提出義務者については、フローだけでなくストックにも着目して、
所得要件に加え、資産要件が設けられました。
ところが、所得金額2,000万円以下の方はどんなに大資産家であっても
財産債務調書の提出義務はなく、これでは国は納税者の資産の異動が十分に
把握できない点が課題とされてきました。
そこで、今回税制改正で新たに、所得に関係なく、総資産が10億円以上の方が提出義務者に加わったのです。
この結果、例えば現在高校生で所得はもちろん0ですが、親や祖父母からの
相続などにより総資産10億円以上お持ち、こんな方も財産債務調書を提出する
こととなります。
【3.10億円という金額】
ではなぜ10億円という金額に決まったのでしょうか?
ある調査によれば、総資産10億円以上のビリオネアは、日本の人口の0.02%ほどだそうです。ほんの一握りと言えましょう。
税制改正の議論の中では、総資産5億円以上という声もあったそうです。
5億円以上になっていたら、かなり提出義務者の範囲が広がりますよね。
いずれ固定資産税のように、保有財産に毎年税金をかける、そんな政府の
青写真があるのかも知れません。
今後も動向を注目していきたいところです。
(担当:税理士 井口 麻里子)
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