┏◆◇━2022年9月━◇◆
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┃ 経営者のための 事業承継ミニ情報 ◇第78号◇
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┗◆◇━━━━━━━━━◆◇━辻・本郷 税理士法人━◇◆┛
会社の経営権である株式を、後継者にどう承継すれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか、
承継の際の税金について、どう取り扱えば良いのか?
そんな疑問の解決に役立つ情報を、毎月1回配信いたします。
このミニ情報をご覧いただき、
円滑で、そして税務上も有利な事業承継対策を実現していきましょう。
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持株会社の業種目判定は?
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事業承継対策の一環として持株会社を設立し、事業会社の株式の全部や一部を保有させているケースは良く見受けられるかと思います。
持株会社は、一般に子会社株式を保有することだけを目的とした「純粋持株会社」と持株会社自体が事業活動を行う「事業持株会社」に区分することができます。
昨今のトレンドとして、持株会社を活用し、グループ会社の不動産を集約したり、グループの間接部門である経理部や総務部を持株会社に集約するケースもあります。
このような持株会社では、不動産収入や子会社からの業務委託収入が発生しますが、持株会社の収入の種類が多岐にわたるため、非上場株式の評価をする上で必要となる類似業種比準価額計算上の業種目の判定にあたっては、注意が必要です。
<純粋持株会社の場合>
非上場株式の業種目の判定方法については、以下のフローにて判定することが一般的です。
(1) 総務省が公表している「日本標準産業分類」を閲覧し、評価対象会社の
営む事業がどの分類に該当するかを判定する
(2) 国税庁が公表している「日本標準産業分類の分類項目と類似業種比準価額
計算上の業種目との対比表」を用いて日本標準産業分類の事業分類が
類似業種比準価額計算上のどの業種目に該当するかを判定する
そこで、まずは日本標準産業分類における持株会社の分類を確認すると
【中分類72専門サービス業】の中に【小分類7282純粋持株会社】がありますので、日本標準産業分類上の分類は【中分類72専門サービス業】に該当すると判定できます。
次に、対比表で比較してみますと、
日本標準産業分類上の【中分類72専門サービス業】は国税庁の公表する類似業種では【97専門サービス業】に該当しています。
ただし、【97専門サービス業】ではかっこ書きで「(純粋持株会社を除く)」とされており、国税庁の公表する類似業種では、純粋持株会社は専門サービス業には該当しないことが確認できます。
また、他の業種目を確認しても、国税庁の公表する類似業種では、該当する業種目が見当たりません。
したがって、純粋持株会社の類似業種比準価額計算上の業種目は【113その他の産業】に該当すると考えられます。
<事業持株会社の場合>
日本標準産業分類上は、一見すると、【中分類92その他の事業サービス業】や【中分類69不動産賃貸業・管理業】に該当しそうですが、日本標準産業分類の【小分類7282純粋持株会社】の解説を確認すると、以下のように記載されています。
【小分類7282純粋持株会社】・・・
経営権を取得した子会社の事業活動を支配することを業とし,
自らはそれ以外の事業活動を行わない事業所をいう。
ただし,子会社からの収益を得ることは事業活動とはみなさない。
すなわち、日本標準産業分類上では、子会社からの収益(業務委託収入や不動産賃貸収入など)は事業分類判定上の収入とみなされないことになりますので、
類似業種比準価額計算上も、子会社からの収益は収入としてみなさないことが妥当かと考えられます。
そういたしますと、業種目判定上の持株会社の事業収入はないこととなり、
結果として子会社からの収入が売上の大半となっている持株会社の類似業種比準価額計算上の業種目は【113その他の産業】に該当すると考えられます。
このように、非上場株式評価の一論点を切り出しても事業承継に関する税制は判断が非常に専門的となります。
事業承継をこれから考えている方も、すでに実施された方も、是非一度、
辻・本郷 税理士法人の担当者にご相談いただけますと幸いです。
(担当:古澤 孝祐)
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