2023年1月8日
今週の所感
村田光平(元駐スイス大使)
12月27日・始まる原発回帰批判
皆様
市民社会は原発回帰の新政策はフクシマの悲劇を全く忘れたもので不道徳・無責任そのものととらえております。
27日付沖縄タイムズの下記社説はこのことに対する国民の怒りを反映するものとして極めて注目されます。
記
社説[原発政策大転換]福島の事故 忘れたのか
東京電力福島第1原発事故から11年余り、岸田文雄政権が原発推進へと大きく舵(かじ)を切った。
安全神話が崩壊した「福島の教訓」を忘れたわけではあるまい。
将来に禍根を残す決定だ。
原発を巡り政府が、次世代型への建て替えや、既存原発の60年超の運転を可能にする基本方針をまとめた。
脱炭素化政策を議論する「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で、GX実現に向けた方針として示された。
次世代型は安全性が高まるとされ、2030年代の運転開始を目指すという。
具体的な場所は明示していないが、福井県の関西電力美浜原発などが候補に挙がる。
福島事故後、原発の運転期間は「原則40年、最長60年」と定められた。
新方針では再稼働のための審査対応で停止した期間が除かれ、
60年超の運転が可能となる。
原子力は「可能な限り依存度を低減する」とし、新増設や建て替えは「想定していない」というのが、従来の政府方針だった。
7月の参院選でも自民党は次世代型の建設などを公約に掲げていない。
それが与党大勝の参院選後、原発活用の検討を岸田首相が指示したのだ。
ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機を背景に、
新規建設、長期運転に踏み込んだ形だ。
確かに電力の需給逼迫(ひっぱく)や料金高騰は深刻だが、
ウクライナ危機に乗じた、あまりに乱暴で拙速な政策転換である。
■ ■
福島県には、今も7市町村に原則立ち入り禁止の帰還困難区域が残り、3万人近くが避難生活を続けている。
福島の住民に限らず、原発回帰への懸念、安全性に対する不安は大きい。
次世代型は「革新軽水炉」と呼ばれる原子炉が有力という。
ただ安全性がどの程度高まるかはよく分かっていない。
建設費も1基1兆円規模といわれ、国民負担が発生する可能性もある。
原発の60年超運転については、政府方針を後押しする形で
原子力規制委員会も見直し案を了承した。
了承はしたもののリスクの高い老朽原発で60年以降の安全性を
確認する具体的な方法は示していない。点検方法など詳細な検討も先送りした。
10年前、規制委は原発推進の経済産業省から独立する形で発足した。だが、今回の議論は経産省と歩調を合わせるように進んだ。
事故の教訓だった「規制の独立」も揺らいでいる。
■ ■
基本方針を決定したGX実行会議は、脱炭素社会の実現に向けた産業の転換などを議論する場だ。
原発政策を中心に据えた会議ではない。
脱炭素を前面に出せば、批判が抑えられるとの思惑も透ける。
そもそも脱炭素の主力は再生可能エネルギーだ。
「核のごみ」問題もクリアできていない。
安全保障政策の大転換に続き原発政策も、国会での議論や国民への説明を軽視して進められている。
到底容認できるものではない。
12月27日 自然エネルギー財団による原発回帰批判
皆様
市民社会がこれまで脱原発のための尽力のすべてを水泡に帰すると思わせる原発回帰は罪深いとの思いが強まりつつあると思われます。
お届けした沖縄タイムズの社説に続き自然エネルギー財団による原発回帰批判の下記核心部分を御参考までに共有させていただきます。
「いま、政府がなすべきは、持続可能性のない原子力発電やCCS開発、アンモニア混焼発電などに、希少な人的資源や財源を投入することではない。
既に多くの企業がPPAなどの活用で追加性のある自然エネルギー拡大に取組み、地方自治体では、東京都、川崎市が住宅メーカーへの太陽光発電設置義務の導入を進めるなど先駆的な動きを始めている。ソーラーシェアリングによる農業との共生など地域電力の取組みも活発である。
四季折々の多彩な自然を享受する日本は、太陽光、風力、水力、
地熱、バイオマスという豊富な自然エネルギー資源に恵まれている。原子力にも化石燃料にも依存しない日本、自然エネルギーを
基盤とする社会の実現をめざす大方針を定め、自ら総力をあげるとともに、企業、自治体、地域の力を結集する。それが今、政府に
求められていることである。」
市民社会は人力では如何ともしがたいことは哲学の教えに立脚して地球と人類を守る天地の摂理に委ねることが出来ることが救いです。
1月3日 年賀状
皆様
新年の年賀状を別添お届けいたします。
倫理の欠如、倫理の喪失を前にして「日々壊れ行く日本」を嘆く声すら寄せられる悲しい世相です。
1929年の米国の大恐慌がもたらした悲劇を描いたステファン・ツヴァイクの名著「昨日の世界」が改めて想起されます。
権力に支えられる力と支配の父性文明に対して、倫理と連帯の母性文明は哲学によってこれに対応し立ち向かうものであり、
人類に希望を与えております。
「新しい文明の創設」を訴えている所以です。
皆様の御指導と御支援をお願い申し上げます。
1月4日・市民社会の所感
皆様
市民社会はかくも短時日の間に日本の国家としてのありようが改変されつつあることに衝撃を受けております。
経済界出身の尊敬する知人から寄せられた別添の所感は市民社会が強めつつある危機感を的確に伝えるものとして共有させていただきます。
死活的重要性を有する変化をかくも軽々に実現することは哲学の教えの三原則(天地の摂理、歴史の法則、老子の天網)から到底認められるものではありません。
人力を超える問題であるが故に権力を有しない市民社会は哲学をもってこれに対応し、未来への希望を抱き続けるほかはないと考えております。
ちょっと待って欲しい
昨年12月16日、新聞は「防衛費増税 与党合意―自民党と公明党は15日、防衛費増額の財源として、法人税、所得税、たばこ税の三つを増税することで合意した」と報じている。
ちょっと待って欲しい。「防衛費増額」とはこれまでGDPの1%、年間ほぼ5兆円に抑えてきたものを、5年後までに倍増すると云う話である。「防衛費増額」が妥当かどうかをまず議論すべきで、
「財源」はその後の話で順序が逆ではないか。
日本はGDP世界第3位の経済大国である。
同時にGDPの2倍の借金を抱えた借金大国である。
その国がGDP比2%の軍事予算を持てばたちまち世界第3位の
軍事大国になる。
軍事費(防衛費)は世界で9位、軍事指標(軍事費、経済力、人口、陸海空軍の保有戦力等様々な要素を指標にしたもの)は世界第5位にランクされている。
日本は現状でも世界で有数の軍事大国なのである。
「防衛費(軍事費)」を2倍にするということは「国の形(国体)」を大転換することである。
岸田首相に訴えたい。
これほど大きなテーマを国会での議論もなく、国民もよくわからないまま、大筋を決めて、財源に議論を先走りするのはあまりに拙速で乱暴である。
国会で議論を尽くすと共に何よりも国民に丁寧に説明し、
理解を得なければならない。
国を滅亡させた経験を持ち「2度と過ちを犯さない」ことを誓ったはずの我が国である。
このまま突き進むと国家百年の計を誤ることになる。
心配しているのですが、首相は本件について、内々にアメリカに
約束してしまっているのではないでしょうね。
皆様
混迷を深めつつある世界は国連倫理サミットの開催を必要としております。
同サミットの目標は
1.地球倫理の確立
2.力の父性文明から和の母性文明への転換
3.核廃絶の実現です。
別添の父性、母性両文化の比較表を一瞥すれば平和に貢献するのは母性文化であることが頷けます。母性文明は倫理と連帯に基ずき、環境と未来の世代の利益を尊重する文明と定義できます。
母性文明の特徴は感性です。
現在世界が最も必要としている人道主義を支えるのは感性です。
同比較表は国際的に拡散され評価されております。
力の父性文明は権力を必要としますが、和の母性文明は哲学に支えられます。
哲学は倫理の源泉となりうるものであり、その教えは人類と地球を守る天地の摂理、不道徳の永続を許さない歴史の法則及びすべての悪事を罰する老子の天網の三原則に総括されます。
市民社会を代弁する立場からの発信を続けておりますが、知人から別添のトロイの王女カサンドラの役柄のごときになるやと
心配しているとのメッセージに接しております。
皆様の御理解と御支援をお願い申し上げます。
追伸「新しい文明に向かい動き出すときの到来」と題する小論がDEVNET INTERNATIONALのニュースとして世界の有識者約1万4,000名に英語など10言語でニュースを配信している
「OTHER NEWS」(本部:イタリア)で拡散されました。
https://www.data-max.co.jp/article/61168