┌┬───────────────────────────2023年1月
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│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第133号
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└──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 www.ht-tax.or.jp/
辻・本郷 税理士法人の資産税の専門家が
相続・贈与税、資産にかかわる最新の情報をお届けする
「資産家のための資産税ニュース」 毎月15日配信です。
(※15日が休日の際は、前営業日に配信いたします)
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■□ 贈与税の改正が明らかになりました ■□
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昨年の12月16日に自由民主党・公明党による「令和5年度税制改正大綱」が発表され、注目されていた贈与税の改正が明らかになりました。大きな改正と言われています。
※詳しい改正の内容は、辻・本郷 税理士法人ホームページ掲載の
「【速報】令和5年度(2023年度)税制改正大綱」または、
無料Webセミナー「令和5年度 税制改正セミナー」を
お申込み(1月25日17時まで受付)の上、ご覧ください。
【1.暦年課税の改正】
改正が発表になった翌日、お客様から「贈与の制度が無くなるのですか?」という慌てられた様子のメールが飛び込んできました。
ご安心ください。110万円まで贈与税がかからない暦年課税制度は廃止になりません。
ではどこが改正になるのでしょうか?
これまでは、親御さんの余命が短いと知り、あわててご相談に来られるお子様に、「今からあなたに現金贈与しても相続税対策にならないかもしれませんよ」とアドバイスしてきました。それは、相続が発生してから遡って3年間の贈与は、贈与金額の多寡に関係なく、相続財産に加算されるという相続税の規定があるからです。
今回改正になるのはこの規定で、加算される期間が3年から7年と長くなります。
ただし、これは相続または遺贈により財産を取得した者に加算されるという
規定なので、お孫さんやお嫁さん等は対象になりません。この部分も改正になるのでは、と言われていましたが、今回は改正になりませんでした。
(お孫さんであっても、遺言や、生命保険金の受取人にされ、相続税がかかるような場合は、加算の対象となります。)
贈与してから、今までは3年長生きすれば効果があったのが、7年長生きしなければ効果がなくなるのでは、「そんなに長生きはできないかもしれない?」と贈与を躊躇する方も多くなるかもしれませんね。
【2.相続時精算課税制度の改正】
前述【1】暦年課税の改正は、デメリットの改正ですが、相続時精算課税制度の改正はメリットの改正と言えるでしょう。
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母、祖父母から18歳以上(令和4年3月31日以前の贈与については20歳以上)の子供や孫への贈与に限られ、贈与金額が2500万円までは贈与税がかからない制度ですが、
・期間に関係なく、この制度により贈与した財産がすべて相続財産に加算される
・この制度を選択した親御さん等とは、【1】の暦年課税制度が使えなくなる
という点で、この制度についてのご相談は、制度創設当時に比べてあまり見受けられなくなりました。
私見ですが、政府としては、相続税と贈与税の一体課税の制度である相続時精算
課税制度をまずは選択させたいという思惑があるのでしょうか?暦年課税制度の110万円の基礎控除とは別に、新たに110万円の基礎控除の枠を創設しました。
相続時精算課税制度を選択しても、毎年110万円までの贈与は
(1) 贈与税はかからない。贈与税の申告も不要。
(2) 期間に関係なく、相続財産への加算はない。
という改正です。
【3.220万円までの贈与について贈与税がかからなくなる?】
具体的に以下の家族で考えてみます。
家族構成 父 太郎
母 花子
長女 桃子
父太郎と長女桃子の間で、相続時精算課税制度を選択し、毎年110万円を贈与します。
母花子と長女桃子の間で、暦年課税制度を利用し、毎年110万円を贈与します。
改正前は、長女桃子は、1年で110万円を超える贈与は贈与税がかかりましたが、改正後は、相続時精算課税制度の基礎控除の枠を利用することによって、
長女桃子は
1年で220万円まで贈与を受けても、贈与税がかからなくなることも、大きな改正と言えるでしょう。
【4.辻・本郷 相続センターへご相談を】
110万円の贈与は、緊急対策にはならないかもしれませんが、コツコツと長く行っていくと、非常に効果がある相続税対策です。生前贈与加算の期間が3年から7年に延長された暦年課税制度と、新たに110万円の基礎控除の制度が創設された相続時精算課税制度をどのように利用していくかは、皆様お一人
お一人の家族構成や資産の内容によって違ってきます。
また、相続時精算課税制度を選択するには、税務署へ届出が必要です。税務署は、
この提出された届出を贈与する方が亡くなるまで、保存、管理しています。
(贈与者が60歳以上に限られているのは、年齢を限定しないと相続までの税務署側の管理が難しいからと聞いています。)
相続時精算課税制度を選択するということは、税務署の管理下に入るということになり、相続の際は、制度を選択していない人よりも、制度を選択している人のほうが、生前の贈与について、適正に行われているかどうか、よりチェックを厳しく行うと思われます。
贈与したつもりが、税務調査により、贈与が認められず名義預金と認定されてしまい、相続財産に取り込まれてしまわれないように、贈与の手続きも、改正前以上にきちんと行うことが必要です。
今回の改正により、贈与による対策は複雑になり、より長期的にオーダーメイドで準備する時代になります。
是非、お近くの辻・本郷相続センターへお気軽にご相談くださいませ。相続専門のセンターの所員が、効果的な贈与について、アドバイスさせていただきます。
(担当:税理士 宮村 百合子)
※上記につきましては、大綱発表直後の情報のため詳細が不明な点もあり、
正確性を担保するものではございません。税制改正大綱は税制改正の素案であり、概ねこの通りに改正される場合が多いですが、確定事項ではない点は
ご理解ください。
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