┏◆◇━2023年1月━◇◆
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┃ 経営者のための 事業承継ミニ情報 ◇第82号◇
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┗◆◇━━━━━━━━━◆◇━辻・本郷 税理士法人━◇◆┛
会社の経営権である株式を、後継者にどう承継すれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか、
承継の際の税金について、どう取り扱えば良いのか?
そんな疑問の解決に役立つ情報を、毎月1回配信いたします。
このミニ情報をご覧いただき、
円滑で、そして税務上も有利な事業承継対策を実現していきましょう。
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親会社が同族会社に該当する場合の『株式交付』が
税制特例の対象から外れます
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令和5年度税制改正大綱において、令和5年10月1日以降、株式交付後にその親会社が同族会社(イメージ:オーナー一族の会社)に該当する場合には、株式交付に係る課税繰り延べの対象から除外されることが明らかになりました。
株式交付制度は、自社株式を対価とするM&Aを活性化し、イノベーションを起こしやすくする目的で令和3年に施行されました。税法上も、令和3年度税制改正で、課税の繰り延べ措置が創設されました。これは、株式交付により、
株主が子会社となる会社の株式を譲渡し、替わりに親会社となる会社の株式の
交付を受けた場合に、その株式の譲渡損益を繰り延べることができる制度です。
(対価の80%以上が親会社株式であることが要件です。詳しくは当メルマガの
第80号(2022年11月配信)をご参照ください)
ところが、この制度が企業オーナーの私的な節税につながっているとの指摘が上がるようになりました。
例えば、事業会社Aの株式を50%超保有するオーナーが、新たに100%を出資
して資産管理会社Bを設立します。そして、B社がオーナーからA社株式を取得し、その対価としてB社株式を交付する株式交付を行います。
(A社:株式交付子会社、B社:株式交付親会社)
この場合、オーナーは、課税の繰り延べ措置により、A社株式の譲渡益に課税がされません。
A社株式を資産管理会社に売却する場合、本来は20.315%の株式譲渡益課税が
行われるところ、株式交付制度の利用により、無税でA社株式を資産管理会社に移動することができます。
また、オーナーは、株式交付後はB社の株主となりますが、資産管理会社の
株式は株価対策がしやすい上、B社がA社株式の1/3超を保有しているため、
B社が受け取るA社からの配当金は、ほぼ全額が非課税となります。
こうした企業オーナーによる株式交付制度の利用を、資本政策の一環と
捉えるのか、租税回避行為と捉えるのか、意見がわかれておりましたが、
今回の改正は、税務当局が租税回避行為に繋がるものと判断したといえます。
すでに行った株式交付はどうなるのか、これから令和5年9月までに駆け込みで株式交付を行った場合はどうなるのか、といった疑問が生じますが、税務当局は、株式交付を行う合理的な理由の有無や、租税回避の意図の有無により判断するものと考えられます。
(担当:鈴木 史子)
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