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        ┌┬───────────────────────────2023年2月

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        │└┼┐  資産家のための資産税ニュース 第134号

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        └──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 www.ht-tax.or.jp/

         

        辻・本郷 税理士法人の資産税の専門家が相続・贈与税、資産にかかわる最新の情報をお届けする

        「資産家のための資産税ニュース」 毎月15日配信です。

        (※15日が休日の際は、前営業日に配信いたします)

         

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        ■□ 今さら聞けない!? 相続時精算課税制度の基本的概要 ■□

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        令和5年度税制改正大綱の公表により、今注目を集める相続時精算課税制度。

        相続税がかかる見込みの方々からは、早速多くのご相談を受けており、様々な

        活用例をケース別に検討・提案しているところですが、

        「そもそも相続時精算課税制度って何?!」という贈与初心者の方のために、

        相続時精算課税制度の基本的概要を説明します。

         

        【1.2つの贈与制度の基本的概要と相続時の取扱いの違い】

        贈与税の課税制度には、暦年課税制度と相続時精算課税制度の2つがあります。

        (1) 暦年課税制度

        暦年課税制度とは、暦年の1年間に贈与を受けた財産額に応じて、受贈者

        (もらった人)に対して、年間110万円の基礎控除額を超える部分に、10%〜55%の税率で贈与税が課税される制度です。

        現行では、贈与者(あげた人)の死亡時には、死亡前3年間に相続人等へ暦年贈与

        された財産は、相続財産に加算され相続税の対象となります。

        この相続財産に加算される死亡前の期間が、令和6年1月1日以降に行う贈与は、7年間に延長されます。

        (2) 相続時精算課税制度

        相続時精算課税制度とは、贈与者が満60歳以上の父母や祖父母、受贈者が

        満18歳以上の子や孫の場合に選択可能な制度です。相続時精算課税制度を選択した年以降、累積の贈与財産額が2500万円までは贈与税は課税されず、累積2500万円を超える部分に、受贈者に対して一律20%の税率で贈与税が課税されます。

        現行では、贈与者の死亡時には、相続時精算課税制度の選択年以降に贈与された

        財産は、死亡までの年数にかかわらず、全額相続財産に加算され、相続税の対象となります。

        この相続財産に加算される財産額について、令和6年1月1日以降に行う贈与は、贈与額から年間110万円まで控除されます。

        つまり、相続時精算課税制度であったとしても、年間110万円までは加算の

        対象にならない足切りの制度ができたと言えます。

         

        【2.相続時精算課税制度選択における注意点】

        今回の改正を受け、高齢の方からの年間110万円の贈与については、暦年贈与を継続しても相続財産に加算される可能性が高まるため、相続時精算課税制度を選択する方が増加すると考えられますが、選択に際しては、制度をよく理解して、慎重に検討する必要があります。

        (1) 贈与者と受贈者、1対1ごとに贈与制度を選択します。

        例えば1人の子が、父親からは暦年課税制度、母親からは相続時精算課税制度と、贈与者ごとに贈与制度の選択が可能です。基礎控除額は贈与を受けた方1人につき、暦年課税制度と相続時精算課税制度で、それぞれ年間110万円ずつ

        活用が可能となります。

        ただし、同一の贈与者からの贈与について暦年課税制度と相続時精算課税制度の併用はできません。相続時精算課税制度を一度選択すると、その贈与者からはその後暦年贈与は受けられませんので、選択に際しては慎重な判断が必要となります。

        特に、所有財産が多く、贈与税をあえて払ってでも110万円を超える多額の

        生前贈与を進めていきたい方については、相続時精算課税制度の選択により

        不利な結果となる可能性があります。

        (2) 相続人以外(孫など)に対する暦年贈与は、贈与者死亡までの年数にかかわらず相続財産に加算されません。

        今回の税制改正大綱でもこの取扱いの変更はありませんでした。

        そのため、相続人への贈与は、贈与者の年齢に応じて、相続時精算課税制度への切替えを検討することになりますが、相続人以外への贈与は、贈与者の年齢に応じた切替えは不要と考えられます。

        ただし、相続人以外であっても、例えば、遺言・死亡保険金等により相続財産を

        取得する方への暦年贈与は、死亡前3年間(令和6年1月1日以降に行う贈与は7年間)の

        相続財産への加算対象となるため、誰に贈与をするか、誰に相続等をするか、

        総合的に検討する必要があると言えます。

         

        【3.相続税申告実務への影響】

        相続税の申告にあたっては、後日税務署が金融機関へのデータ照会を行い、

        お亡くなりになった方の口座のほか、配偶者・子・孫、その他親族等の口座を含めて、その取引履歴に対する調査を行う可能性があります。相続税の税務調査の際に、生前の多額の不明出金や使途不明金等について問題とならないように、

        贈与を行う際には必ず通帳に記録を残し、贈与の証拠を残しましょう。

        また、今回の改正も踏まえ、後日税務署から指摘されない相続税申告書を作成するためには、繰越済みの通帳をより長期間保管しておくことが望ましいと言えるでしょう。

        税務調査の際に苦労することのないように、効果的かつ正しい贈与の仕方については、是非、辻・本郷 相続センターにご相談ください。

        (担当:税理士 原 有美)

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