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         2024年2月9日発行

        世界の最新トレンドとビジネスチャンス

        第734回

        「ミッシェル・オバマ大統領待望論が急浮上中!なぜ?」

        浜田和幸

         

        ──────────────────────────

        11月に行われるアメリカの大統領選挙の行方は、「老老対決」が確実視されていますが、まだまだ大番狂わせがありそうです。

        共和党の場合にはトランプ前大統領が圧倒的な票を集めています。

        挑戦してきた候補者はニッキー・ヘイリー元国連大使を除き、皆、敗北を認め、トランプ支持に回ると表明。

        ただ一人敗北を認めようとしないのがヘイリー女史です。とはいえ、いずれの世論調査を見ても、トランプ氏にはまったく太刀打ちできないであろうことは明白。

        肝心の選挙資金もニューハンプシャー州の予備選に使い果たしてしまったため、2月24日に予定されている自らの出身地で知事も務めたサウスカロライナ州でも勝ち目はありません。

        しかも、サウスカロライナ州の議員時代に問題視された複数の不倫相手からは具体的で強烈な暴露発言を繰り出されています。

        これでは最後の巻き返しを目論む地盤でも勝算は望めないでしょう。

        そのせいで、トランプ復活を想定し、「デジタル・ワールド・アクイジション」など、トランプ銘柄の株価は急上昇を見せています。

         

         一方、現職のバイデン大統領ですが、認知症らしき症状の進行は隠しようがありません。

        最近の演説でも、テレプロンプターの文字が上手く読めず、意味不明の発言が相次いでいます。何しろ、「アメリカ」と発言すべきところを「アウイメリカ」と言う有様です。これでは好き放題の“トランプ砲”をぶっ放す前大統領との勝負にはなりそうにはありません。

         

        しかも、相次ぐ息子や弟など身内のスキャンダルに加えて、本人もウクライナのエネルギー会社から多額の賄賂を受け取っていたとの疑惑で、窮地に立たされているのが

        バイデン大統領です。

        遊説先でも演台に登る階段を低くするように指示が出ています。

        何しろ、飛行機のタラップでも集会場の階段でもしょっちゅう躓いているからです。

        各種世論調査を見ると、有権者の過半数はバイデン大統領の再出馬には「老害だ」と反対しています。

         

         本人は大統領の座を去れば、その瞬間にもお縄になる恐れがあるためか、「まだやり残した仕事がある」と主張し、有権者の気持ちなどお構いなしで、大統領選挙に必勝を誓っているようです。しかし、民主党幹部や大口献金者の間では「バイデンでは勝てない」と判断されています。

         

         そこで、民主党では苦肉の策として、「トランプ氏に勝てるのはこの候補しかいない」とばかり、密かに接触を重ねているのがミッシェル・オバマ女史。

        言わずと知れた、元ファーストレディです。女性で、しかも黒人というわけで、いまだ衰えぬ「オバマ人気」にもあやかれるという希望的観測が強まってきました。

         

         共和党のギングリッチ元下院議長でさえ、「ミッシェルは密かに出馬の機会をうかがっているようだ。

        手ごわい相手になるだろう」と内内の会合で述べているほど。本人は態度を明らかにしていませんが、満更ではないようです。現在、自らの新著のサイン会を兼ねて全米ツアーを展開中ですが、党派を超えたファンクラブが各地で誕生しています。

         

         確かに、ファーストレディの頃はもちろん、その後も

        自然環境保護や教育問題に熱心に取り組み、最近出版した書籍はいずれもベストセラーとなっているわけで、民主党の救世主と期待が固まっていることは間違いありません。この動きにはトランプ氏も注目しているようで、「バイデンは間もなくリタイヤするだろう。本番は俺とミッシェルの一騎打ちになるかも」と先読み発言をするほどです。

         

        もちろん、無所属で立候補しているロバート・ケネディ・ジュニア氏も虎視眈々と若い世代の取り込みを加速させています。

        場合によっては、第3政党として歴史を誇る「リベタリアン党」から出馬するのではないかとの観測も出はじめました。そうなれば、無所属とは違い、苦労せずに各州での投票用紙に名前が記載されることになり、資金面でもメリットが生まれ、選挙運動に弾みが生まれるはずです。

        若い世代からは圧倒的な支持を集めているケネディ氏の躍進もあり得る話でしょう。

         

         いずれにせよ、「政治とカネの問題」で、にっちもさっちも行かず、代わり映えのしない日本の政界と違い、アメリカにはいまだ政治のダイナミズムが感じられます。

        4月には国賓待遇でワシントンを訪問する岸田首相ですが、アメリカの熱気を感じ取ってもらいたいものです。

         

         

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        著者:浜田和幸

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