序

中国との科学技術情報の交流は、今から30年前に始まりました。私は1992年3月に、ニチメン（現在の双日）を早期退職し、愛知学院大学に転職しました。93年8月、愛知学院大学の学生を米国イリノイ大学アバナシャンペーン校での英語研修に引率した帰路、上海科学技術情報研究所副所長の缪其浩（ミャオ）さんから国際電話がありました。スウェーデンのルンド大学のデジエル博士から、講師として筆者を推薦され、上海と北京で日本のビジネスインテリジェンス研究の状況について講演する要請がありました。上海と北京の約100名の情報研究者が参加し、筆者は英語で講演し、中国語に通訳されました。参加者は熱心に聴講し、これは中国の情報コミュニティから強い関心と反響を呼びました。その後の30年間、私は中国科学技術情報学会競争情報分会（SCIC）の国際顧問として、情報の共有と交流に努めました。現在、SCICは500以上の団体会員と1000人以上の個人会員を擁する学術団体となっています。日本を凌駕するその熱心な研究に感銘を受けています。SCICの益々の発展を心から祈念しています。また、2003年9月、上海科学技術情報研究所主催の2003上海競争情報フォーラムにも招待されました。昨年、高橋文行教授から20周年を記念に2023上海競争情報フォーラムが開催されたとの報告を受けました。

1989年2月、米国のニチメン（現在の双日）ニューヨーク駐在時に、米国の競争情報専門家協会（SCIP）がニューヨークで開催された総会で、日本総合商社の情報収集と活用に関する講演を行いました。この経験が私の33年にわたる日本ビジネスインテリジェンス協会（Business Intelligence Society of Japan）創設のきっかけとなりました。これまで、33年間にわたり、186回の情報研究会を開催し、国内外から累計16,000人が参加しました。また、講師には600名以上の方々が名を連ねています。5月に開催された研究会では、上海科学技術情報所は代表者を派遣し、このイベントに参加しました。

この研究会にはかつて、ミャオさんも上海から参加され、素晴らしい講演を聞くことができました。その後も、SCICからのミッションが日本を訪れ、日本IBMやNHK、NTTなどを案内し、日中の情報交流を行いました。国際的には、フランスのビジネス協会会長であるRobert氏が中心となり、スイス・ジュネーブにてGlobal Business Development Alliance（GBDA）を結成し、情報を活用したグローバルビジネス開発連合を設立しました。この連合には、中国代表として理事にミャオさんが就き、副会長として私が参加しました。会長としては、米国からSCIPのBob Margulies氏が参加しました。しかし、現在この開発連合は休眠状態にあります。ぜひ、この連合を再興してほしいものです。その際には、日本BISが高橋会長率いる日本競争情報学会と協力して、アジアのBIとCIの研究拠点に協力したいと思います。ぜひ中国も参加してくれることを願っています。アジア流のビジネスインテリジェンスやコンペティティブインテリジェンスの研究が普及・促進されることが期待されます。

情報化社会はAI時代を迎え、Chat GPTを含むビッグデータやデータサイエンスが台頭し、世界の情報環境が急速に変化しています。この変化の中で、アジアと欧米の競争情報には認識や方法論に大きな違いがあります。業務を遂行するには、競争相手の情報だけでなく、自社の競争力を獲得するために環境情報や経済情報などの全体像を把握することが不可欠です。特に中国では上海科学技術情報研究所を含む多くの研究者が日本の情報活動について研究を行っています。このような背景から、本書の出版は日本の情報研究と企業経営実践の現状を体系的に理解し、さらなる情報交流と共有を促進する一助となることを心から願っております。

 

日本ビジネスインテリジェンス協会会長

中川十郎

序

 

与中国的科技信息交流始于30年前。1992年3月，我从日棉公司（现双日公司）提前退休到爱知学院大学任教。1993年8月，我带领爱知学院大学的学生赴美国伊利诺伊大学奥本香槟分校参加英语培训的返程途中，我接到了上海科学技术情报研究所副所长缪其浩先生的国际电话。应瑞典隆德大学（Lund University）的德迪约（Stevan Dedijer）博士推荐，邀请笔者在上海和北京就日本的商业情报的研究状况作一次讲座。来自上海和北京约100多名情报研究人员参加了此次会议。在会上我用英语发表了演讲，演讲内容被翻译成中文。与会者听得很认真，引起了中国情报界的强烈兴趣和反响。此后的三十年，我一直担任中国科学技术信息学会竞争情报分会（SCIC）的国际顾问，促进信息共享与交流工作。如今，SCIC 已成为一个拥有500多团体会员和1000多个人会员的学术组织。SCIC的研究热情比日本还高，给我留下了深刻印象。我衷心祝愿SCIC不断发展取得成功。另外，2003年9月我还应邀参加了由上海科学技术情报研究所举办的2003年上海竞争情报论坛。2023年，日本竞争情报学会会长高桥文行教授参加了纪念20周年的2023上海竞争情报论坛。

1989年2月，我在美国纽约日棉公司（现双日公司）工作期间，在美国竞争情报专业人员协会（SCIP）召开的纽约年会上，就日本综合商社的信息收集和应用发表了演讲。这段经历激励我创建了日本商业情报协会（Business Intelligence Society of Japan，BISJ），至今已经历了33 年的历程。迄今为止33 年间共举办了186场情报研讨会，累计有来自国内外16,000人参加。此外，还有600多人担任讲师。缪其浩所长以前也从上海赶来参加过这个研究会，并作了精彩的演讲。随后，SCIC派代表团来日本访问，我带领代表团参观了日本IBM、NHK、NTT等公司，并进行了交流。在5月举行的最新一场会议，上海科学技术情报研究所派代表参加了这次活动。

在国际上，在法国商业协会主席罗伯特（Robert Guillaumot）先生的领导下，曾经在瑞士日内瓦成立了一个情报共享的全球商业发展联盟（Global Business Development Alliance，GBDA）。缪其浩所长以中国代表身份参加了理事会，我本人担任副主席。SCIP的鲍勃（Bob Margulies）从美国前来参加会议并担任主席。然而，这个发展联盟目前处于休眠状态。我希望能够重振该联盟，日本商业情报协会将会携手高桥会长领导的日本竞争情报学会，共同努力打造一个亚洲商业情报和竞争情报研究中心。我衷心希望中国能够加入，期待亚洲式的商业情报和竞争情报研究能够得到普及与推广。

信息社会已经进入人工智能时代，全球情报环境正在发生迅速变化，以Chat GPT为中心的大数据和数据科学正在兴起。在这种变化的背景下，亚洲和西方的竞争情报在观念和方法上存在很大差异。开展竞争情报工作，不仅要了解竞争对手的信息，还要了解包括环境和经济信息在内的全局状况，这样才能为企业赢得竞争优势。

在中国，包括上海科学技术情报研究所在内的许多研究人员对日本竞争情报活动进行了全面的研究。在此背景下，我们衷心希望本书的出版有助于系统地了解日本的情报研究和企业管理实践的现状，进一步促进情报交流和共享。

 

日本商业情报协会会长

中川十郎

(高桥文行 译)