2024年5月24日
シカゴ通信 EV車の米国の現状とトヨタの将来、イタリアの医療体験、日比谷と外語の在校生向けの奨学金についてなど
工藤進(シカゴ在住)
柳沢 享(元豊田カナダ社長、豊田通商副社長)への所感
円安を続けることはトヨタなどの自動車業界は大歓迎かもしれませんが、輸入インフレで国民の実質賃金は下がる一方だと思います。
日産が中国での減産政策を発表したようですが、私はこの政策も間違いではないか、と思っています。 もし私が中国日産の社長ならば、日産のガソリン車の価格を2割ほど値下げする一方、日産のEV車も1割値下げします。
EV車を値下げすることで、ドイツ車やトヨタやホンダなどから中国市場のシェアを奪うことを目指します。
日産や三菱には、日本でトヨタと正面から戦う気概がないのが残念です。
今月上旬のトヨタの会長の業績発表などをテレビで見ましたが、危機感が全くないようなので、驚きました。 EV車の投入について、何年から何台投入する、という掛け声だけでした。 米国の現実を詳細に調べましたが、ドイツ車、韓国車、GM,FORDなどのEV車の販売攻勢はすごいものです。 TESLAは毎日、売れていますし、毎日、VWや現代自動車、起亜のEV車を何台もみるようになりました。
毎日毎日、EV車が数千台売れているのです。
彼らは明らかにトヨタとホンダを米国市場から駆逐しようとして価格戦争を始めています。
しかし、トヨタもホンダもEV車は来年の後半からしか米国内では本格的に売る数がないのです。 トヨタの経営陣は全く無能なのではありませんか?
確かにハイブリッドも売れていますが、すでにEV車はハイブリッドのプリウスなどよりも安くなっているという現実を無視しているか、知らないのだと思います。
日本の自動車会社の米国での市場シェアは今後
5年から10年のうちに半減するだろうと私は見ています。 これは全てトヨタが無能で、水素自動車とか、『全方位戦略』を掲げて続けているからだと私は思います。
イタリアでの病院体験について一言。
顔にできものができたので、皮膚科の医師に診てもらいました。
米国や日本の医師とは全く異なり、体中の皮膚の状態を詳細に診てくれました。そして、塗り薬の処方箋を貰いました。 女性の医師でしたが、日本や米国の皮膚科医達よりも丁寧で、技術も上だと感じました。
保険がないので、1万5千円ほど払いました。
しかし、塗り薬は素晴らしい薬で、3週間ほど毎日塗り続けたところ、完治しました。
今年の秋からは娘の親ということで、親族ビザ(永住権)が貰えますので、医療費は無料ということになります。
確かに消費税(VAT)は2割と高く、所得税も4割ほど取られますが、医療、教育、児童福祉などがすべて無料の国、
イタリアは素晴らしい国だと思います。
来年の1月には家内も米国AMAZON社を定年退職となりますので、二人でイタリアに移住するつもりです。
いまから楽しみです。
楽しみと言えば、来週の火曜日から一月ほど娘、奈帆美と孫の愛理がシカゴに来ます。 奈帆美が米国にくるのは、シカゴのルーズベルト大学とボルティモアの’PEABODY音楽院とでピアノの集中講義をするためです。 その後、9月からも二つの大学で教える予定とのこと。
彼女も1987年生まれですので、早く就職が決まれば良いな、と願っていましたが、自分が希望する学校で教えることになり、ほっとしています。
一週間ほど孫の愛理の面倒を家内と二人だけで見ることになりますが、SESAMIストリートやNHKワールドの子供むけ番組を見せて、A、B、Cと、日本語のあいうえお とを教えたいと考えています。
最後になりますが、9月12日から2週間ほど日本に一時帰国することになりました。9月13日、14日との2日間、母校、日比谷高校の星陵祭があるので、それに行ってみるつもりです。
日比谷の星陵祭の名物は各クラスの演劇です。
私は中学と高校時代、演劇部と図書部に所属していましたが、高校時代の1、2年のとき武田たいじゅんの『ヒカリゴケ』とイプセンの『人形の家』に出演しました。
『人形の家』では練習不足のためセリフをすっ飛ばしてしまいました。ですが、そこは臨機応変、間違いをごまかしうまく挽回したので、監督の清水さん以外は私がセリフを飛ばしたことに気が付きませんでした。先日、相手役の女性と話す機会がありましたが、案の定、『全く知らなかった。』とのこと。
また、2年の25ルーム(2年5組)の演劇『エッフェル塔の花嫁・花婿』という喜劇で舞台裏の家具づくりなどに熱中していました。
高校2年のときは全く勉強しなかったので、数学の指数・対数のところから数2Bが分からなくなり、数3は履修しませんでした。
経済学を学び始めて初めて微分方程式の重要性を知り、大阪市立大学で数理経済学と計量経済学を専攻することで挽回しました。
恐慌論という本の中で伊東光晴先生が書かれている連立微分・定差方程式モデルの論文を読んだのもそのときでした。 先生のあの論文は、経済の成長と循環を扱った景気変動論の古典的なもので、素晴らしい論文だといまでも思っています。
実はモデルナに続いて、最近はNDIVIAの株でも大きく儲けました。そこで、今年から毎年、日比谷高校、東京外国語大学、東京大学、一橋大学、それに大阪市立大学の学生達を対象として毎年、奨学金を出すことにしました。
具体的な募集については日比谷の校長先生と相談しているところですが、高校生と大学・大学院生とを対象とした懸賞論文になると思います。
いまのところ4つの分野、1現代資本主義論・比較資本主義論、2金融財政政策、農林水産政策、3エネルギー政策、産業政策 4物理学・数学・医学・薬学の4つの分野の課題を出し、奨学金を準備したいと考えています。
株価の動向にもよりますが、毎年、500万円ほどは売却益と配当収入が確保できそうですので、賞金総額として毎年50万円前後を予定しています。
もしも卒業生の皆様の中で、東京外語の中国語、イタリア語、フランス語、スペイン語、英語科などの特定の語学を専攻している学生への奨学金を出そうという篤志家がいましたら、御連絡ください。
論文の募集と締め切りの日程ですが、募集の発表は星陵祭の期間中、締め切りは来年の1月15日、審査結果の発表は2月23日(天皇と私の誕生日)、表彰式は3月の日比谷の卒業式当日の直後という日程を考えています。
論文の課題について、いま考えているところですが、皆様の御意見をお聞きできれば、と考えています。また、応募論文の審査委員を引き受けて下さる方も募集しています。 是非とも御協力のほど何卒よろしくお願い致します。
星陵祭の期間中にまた星陵会館でお目にかかることができれば、と考えています。 場所と日時が決まりましたら、また御連絡いたします。
今後も、毎月末頃に、米国通信という形で、シカゴから近況報告をさせて頂きたいと思います。 取り急ぎ、6月の近況報告まで。
工藤進・在シカゴ