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        台湾を巡る問題での日本への十項目提案

        全日本華僑華人中国平和統一促進会名誉会長

        福井県立大学名誉教授     凌星光

         

        5月20日、台湾民進党の急進独立派頼清徳が「台湾総統」に就任するに当たって、日本が台湾に間違ったシグナル送らないよう、次の十項目を提案したい。

         

        1、(国際条約)カイロ宣言とボツダム宣言の重要さへの認識

        カイロ宣言には中国から窃取した台湾を中国へ返還することが明確に書かれており、日本が受け入れたボツダム宣言第8条には、「カイロ宣言の条件を実施すべき」としている。そして、日中国交正常化共同声明には「ボツダム宣言第8条の立場遵守」が書かれている。また国連2758号決議にも「一つの中国」の原則が定められている。法理的には台湾が中国の一部であることは明々白々である。

        ただ、アメリカのトルーマン大統領が、国民党政権の敗退及び米ソ対立を目にして、台湾地位未定論を唱え、台湾の中国返還を阻もうとした。米国のこの姿勢は今に至るも続いており、最近は国連決議での台湾地位未定論解釈を打ち出している。何とか台湾独立を支援しようとしているが、アメリカの覇権が衰退する中、これは失敗する運命にある。

        近年、日本でもアメリカの意向に同調して、二つの国際条約をないがしろにする傾向が強くなっている。が、50年にわたって台湾植民地支配を行った当事国日本は、この二つの国際条約の重みをしっかり認識すべきだ。侵略への反省、国際条約への尊重なくして、日本の未来はない。

         

        2、(歴史的流れ)先進国を巻き込んだグローバルサウス主導の東西南北融合世界

        1950年代初め、中ソ同盟条約の締結によって、東風(社会主義陣営)が西風(資本主義陣営)を圧倒する状況が生まれた。台湾解放の準備が着々として進められ、間もなく解決される筈であった。が、朝鮮戦争の勃発によって、米国の第七艦隊が台湾海峡を塞ぎ、台湾解放は不発に終わることとなった。

        その後冷戦時代に入り、中ソ分裂及びソ連崩壊によって、世界は米国の一極支配となり、西風が東風を圧倒する状態に変化した。その過程で、台湾海峡両岸の分断状態が続き、一時期交流が進んだが、「法理統一」「統治分離」の状況は今になっても解消されていない。

        然るに、中国の改革開放政策の成功及びグローバルサウスの発展によって、風向きが変わりつつある。中国、インド、ASEAN諸国、ブラジルなど発展途上国の目覚ましい発展によって、G7先進国のウエイトは益々低くなっている。世界はグローバルサウス主導で東西南北融合が図られていく。この歴史的趨勢の中で、台湾の平和的統一は必然的流れなのである。

         

        3、(世界平和)平和統一か武力行使かで中国は前者を選択

        1950、60年代は台湾解放であったが、1970年代の米中、日中関係の改善によって、両岸関係は相対的安定期を迎えた。それを踏まえて、1979年に改革開放政策がとられるようになり、台湾問題については平和的統一への政策転換が図られた。

        米国および日本など西側諸国は中国のこの転換を大歓迎し、台湾海峡両岸の経済交流や文化交流がこれまでになく盛んになった。だが、台湾の政治制度が変わるなかで、台湾独立の綱領を持つ民進党が政権の座に就くようになり、両岸関係は複雑化し、厳しさを増してきた。

        また、中国の目覚ましい発展に、米国や日本の一部勢力は脅威を感ずるようになり、台湾の独立を外部から支援する動きが活発化した。こうして、平和的統一は先行き不透明となり、緊張感が増してきた。こうした中で、日本の賢明な策は、台湾が平和的統一の方向に進むよう協力することである。

         

        4、(国交正常化の原点)田中、大平及び福田、中曽根の不干渉姿勢の堅持

        1972年の国交正常化に当たって、台湾問題は難題の一つであった。が、ハト派と言われる大平正芳氏及び田中角栄氏の連携プレイによって共同声明が調印され、国交正常化が実現した。

        その後、タカ派と言われた福田赳夫氏によって平和友好条約が1978年に締結された。同じくタカ派と言われた中曽根康弘氏も、「21世紀日本の国家戦略」(2000年出版)の中で、台湾問題は中国自身で解決されるから、日本は口出しすべきではないという意味のことを記している。

        米国は米中間の三つのコミュニケに反する台湾関係法や六つの保証(当初は秘密)などをつくって、台湾防衛について曖昧政策をとったが、日本はそんなことはせず、ハト派もタカ派も、日中両国指導者間の信頼関係を重視した。今、国際情勢が変わっても、この原点を忘れず、日中友好関係を維持すべきだ。

         

        5、(相手国心理への影響)「台湾有事即日本有事」は赤裸々な対中挑発

        2021年12月、米中対立が激化する中、安倍元首相が「台湾有事即日本有事」を口にした。これは赤裸々な対中国挑発であり、私は耳を疑ったほどだ。当然、それの中国国民に与えた悪影響は計り知れない。

        ウクライナ戦争とパレスチナ戦争に相俟って、台湾海峡での第三の戦争が叫ばれ、中国脅威論が一気に高まった。それを利用して、軍事費倍増、敵地攻撃能力整備、武器輸出容認の政策が閣議決定で推進された。そのため、中国の日本への反発と警戒はこれまでになく高まっている。

        最近、日本の外交安全保障政策は中国をライバル視している。関連報道では、必ず「中国を念頭に」という一句が書き添えられる。中国を敵視すれば、当然、日本が敵視され、悪循環に陥る。相手国の心理への影響を配慮するのが外交政策の基本であるはず、真剣に考え直すべきである。

         

        6、(客観的分析)日米軍事一体化の対中抑止力強化は幻想

        中国の軍事力拡大、国防費7%増加を大きく喧伝し、中国脅威論が煽られている。が、物価上昇率を引いた実質では、経済成長率に見合った伸び率である。中国国防費の対GDP比率は1.2ー1.3%でずっと安定している。軍拡競争をしないと宣言し、米日の軍事費が急増(日本は2%に倍増、米国は3-4%)しても、特に増やすようなことはしていない。

        台湾の統一は中国国民の念願であり、台湾が独立するとなれば米日の抑止力など効くはずがない。事実、中国は米国の軍事的覇権への防御力強化に努めてはいるが、よく言われる覇権的行為云々は事実ではない。アメリカ覇権主義の干渉を退け、当事国間での外交的対話を通じて解決しようというのが基本的姿勢である。

        また日米間の軍事的指揮系統の一体化を図って、対中抑止力を強化するというが、それは緊張を生むだけで、問題の解決にはつながらない。日本は中国の国防政策に対して、多くの誤解があり、客観的事実に基づいた冷静かつ理性的な判断をなすべきである。

         

        7、(空気に流され暴走)日本が台湾問題で暴走する危険性

        最近の日本の中国に対する雰囲気は異常で、間違った方向に暴走するのではないかと懸念される。台湾の独立志向に火に油を注ぐような行動が目立ち、日本が第二のウクライナになる可能性もゼロではないと感じるようになった。

        台湾の一部の人たちは、ウクライナ戦争での米国の態度を見て、台湾有事の際、米国が軍隊を出動させることはないと見る。しかし、日本は「台湾有事即日本有事」としているから期待できると考える。つまり、間違ったシグナルを送る結果、独立志向が強まり衝突にまで発展する。その結果、日本と中国が戦火を交えるという悲劇が生まれる。

        米国の対中強硬派は、中国の力を削ぎたいが、米国本土の平和は保ちたいと考える。その結果、日本に武器は供給するが、軍隊は出さない。そこで被害を蒙るのは、中国大陸、台湾、日本となる。そんなバカなことが、と考えたいが、今の日本の雰囲気は実に心配だ。

         

        8、(科学的方向性)米国、中国、アセアン、日本協力体制の構築

        ここで、昨年、日本共産党がASEANの中国を含む「ASEANインド太平洋構想」に着目し、今年4月、「東アジアの平和構築への提言ーーASEANと協力して」を打ち出したことをとり上げたい。これは正に「分断と敵対」ではなく、「平和と協力」を目指すという正しい科学的方向性を示している。台湾海峡両岸の平和的統一も、この枠組みの中で漸進的に達成され得る。

        ここで思い出すのは石橋湛山元総理が1950年代末に提起した「日中米ソ平和同盟」構想である。中国はこの敵をつくらない同盟を評価し、1959年に「石橋湛山元総理と周恩来総理の共同声明」が発表された。日本共産党の提言は、仮想敵国のない枠組みであり、同じ精神が貫かれている。

        石橋構想は実らなかったが、今後10―20年のスパンで見れば、「東アジアの平和構築」は実現し得ると考える。1)米中両国は戦略的且つ理性的である、2)米国は覇権主義を放棄せざるを得なくなる、3)世界の平和と協力の意識が更に強まる、からである。

         

        9、(民主主義の多様性)台湾民主モデルと大陸民主モデルの共存

        台湾と大陸の分断の背景には民主主義に関する認識の違いがある。バイデン氏が2021年12月に民主主義サミットを開き、「民主主義vs権威(独裁)主義」の図式を提示し、世界の政治的分断が強まった。台湾は民主主義、大陸は権威独裁主義というレッテルが貼られ、海峡両岸の関係にも大きな影響を与えた。

        中国は、民主主義は多様性に富み、中国の「全過程民主」に目を向けるべきだと主張する。確かに、独裁主義国家において、即ち民主主義のないところで、40数年にわたる高度成長などありえない。中国は「<民主:全人類共同価値>国際フォーラム」を2021年から開き、今年で第三回目になる。昨年の二回目には鳩山由紀夫元総理が参加され、今年の三回目は舛添要一元都知事が参加された。

        台湾は西側民主モデルを導入して30年近くになる。徐々に軌道に乗り、模範の一つと評価されるようになった。中国は「一国二制度」を提唱しており、中国大陸の社会主義民主モデルと台湾の西欧式民主モデルが共存し、学び合う状況が想定される。正に世界の範となりうる「和諧世界」のひな型だ。日本はこの共存を促す役割を果たすべきである。

         

        10、(国連の改革)日本は平和憲法維持を条件に常任理事国入り

        日本の憲法は世界に類のない先進的平和憲法だ。戦後日本はこれを堅持し、戦争をしない平和国家として世界の尊敬を集めた。ところが近年、国際環境の変化を理由に、平和理念は希薄化し、平和憲法は形骸化してきた。これが台湾海峡の緊張に影響していることを重視すべきだ。

        国連の改革が叫ばれて久しい。国際情勢は大きく変化しており、改革は必然的趨勢である。日本は常任理事国になろうとしているが、普通国家になるならば、常任理事国になる資格はますます乏しくなる。が、真に平和憲法を維持し、世界の範となるならば、世界の有識者から特殊国家として評価され、常任理事国となる資格が備わっていく。

        中国は日本の平和憲法維持と日米安保条約凍結を条件に、その常任理事国入りを支持すべきだ。私は前からこのような主張を個別的にしてきたが、今日、正式に提案したい。アメリカが同意するであろうか?当面、難しいように見えるが、今後、10-20年を視野に入れれば、可能性は十分にあると考える。

         

        2024年5月20日

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