┏◆◇━2024年9月━◇◆
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┃ 経営者のための 事業承継ミニ情報 ◇第102号◇
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会社の経営権である株式を、後継者にどう承継すれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか、
承継の際の税金について、どう取り扱えば良いのか?
そんな疑問の解決に役立つ情報を、毎月1回配信いたします。
このミニ情報をご覧いただき、
円滑で、そして税務上も有利な事業承継対策を実現していきましょう。
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合同会社の出資持分の相続
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資産管理会社を設立する際、株式会社ではなく、合同会社で設立するケースが
あります。合同会社の設立は定款認証が不要であり、株式会社に比べ短期間かつ低コストで設立できるという点や、役員の任期がなく登記費用がかからない、
などのメリットがあるためです。
では、合同会社の出資者に相続が発生した場合、その出資持分はどのように
承継されるのでしょうか?合同会社を1人で出資設立した場合を前提として考えてみましょう。
合同会社の出資者は、社員と呼ばれ、出資者であると同時に業務執行者でも
あります。したがって、社員は死亡により退社すると会社法に定められており、
社員の地位は自動的にはその相続人に承継されません。そして、退社した社員の持分は、払戻し請求権として相続人に承継されます。
ただ、特例として定款に「相続が発生した場合には、相続人等が持分を承継
する(以下、持分承継条項と表記)」と定めておくと、払戻し請求権ではなく、
社員の地位そのものを相続人等に承継することができ、相続人は出資持分を承継すると同時に新たに社員に加入することとなります。
実務上は、定款に持分承継条項を定めるのが一般的です。その理由は、定款に
持分承継条項がない場合に唯一の出資者が亡くなると合同会社が強制的に解散
してしまうことや、持分承継条項がある場合には、出資持分が財産評価基本通達における取引相場のない株式の評価方法に準じて評価され、払戻し請求権として時価純資産で評価するより、安く計算されることが多いためです。 持分承継条項がある場合、相続人に持分が承継されますが、株式の承継とは
少し意味合いが異なります。財産である出資持分の承継であると同時に、
業務執行者としての地位の承継でもあります。株式会社における株式のように、
出資持分だけを承継することはできません。
また、相続人が複数いる場合に、遺産分割の結果として相続人のうちの1人が
被相続人の地位を承継する事になったとしても、登記実務上は、一旦相続人全員が社員になります。そのうえで、社員になることを欲しない相続人が、自己の持分を譲渡して退社します 。
このように、合同会社の出資持分の承継は、株式会社と異なる点があります。
ただ、合同会社から株式会社への組織変更は法務手続きが比較的簡単で、
税務上の課税も行われません。出資のみを承継させたい相続人がいる場合には、
合同会社を株式会社に組織変更しておくという対応が可能です。
また、持分を承継する相続人が予め決定している場合には、遺言で相続人を
指定しておけば、相続人全員の加入登記は不要になります。
(担当:鈴木 史子)
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