BIS論壇No.468『25年10大リスク』中川十郎25・1・9
米調査会社ユーラシア・グループが恒例の25年の世界「10大リスク」を1月6日に発表した。トップリスクには大国によるリーダーシップの空白を示す「深まるG0世界の混迷」を挙げている。
同社は「世界的なリーダーシップに欠如は危機的なレベルにまで深刻化している」と警鐘を鳴らしている。年末のフランス・マクロン大統領の辞任表明に加え、新年に入りカナダのトルドー首相も辞任を表明。ヨーロッパでの右翼勢力の台頭など欧米での政局に波乱が生じつつある。さらに国連の安全保障理事会や国際通貨基金(IMF)、WTO(国際貿易機関)、WHO(世界保健機構)などの影響力の低下、機能不全。国際的なルールを守らない「ならず者国家」の台頭などで、世界大戦が勃発するリスクが高まっていると警告している。
2位にトランプの支配をあげており、1月20日の第2次トランプ政権発足で行政能力の監視や法の支配が弱体化すると予測。トランプ再登場は世界に混乱をもたらすとみられる。
3位は「米中決裂」で、米中対立がさらに先鋭化し、高関税の報復合戦は世界経済のさらなる分断やサプライチェン(供給網)混乱を招くとみている。
4位以下はロシアや、イラン、人工知能(AI)などのリスクを挙げている。
ユーラシアグループが予測する2025年の世界10大リスクは下記である。
- 深まるゼロ世界の混迷
- トランプの支配
- 米中決裂
- トランプノミクス
- ならず国家のままのロシア
- 追い詰められたイラン
- 世界経済への負の押し付け
- 制御不能なAI(人工不能)
- 統治なき領域の拡大
10.米国とメキシコの対立
2025年は欧米を含め、世界的に政治経済激変の年で石破政権としても世界を俯瞰した慎重かつ長期的な戦略確立と対応が強く求められる。 以上