┏◆◇━2024年11月━◇◆
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┃ 経営者のための 事業承継ミニ情報 ◇第104号◇
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会社の経営権である株式を、後継者にどう承継すれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか、
承継の際の税金について、どう取り扱えば良いのか?
そんな疑問の解決に役立つ情報を、毎月1回配信いたします。
このミニ情報をご覧いただき、
円滑で、そして税務上も有利な事業承継対策を実現していきましょう。
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所在不明株主の取扱いについて
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事業承継について検討する際、株主名簿上に連絡がつかない、または所在が
分からない株主が記載されたままのケースがあり、それが円滑な事業承継の
妨げになることがあります。
今回は、その問題点・対応方法について記載致します。
【1】所在不明株主とは
所在不明株主とは、株主名簿に記載はあるものの、長期間、会社からの通知や
催告が継続して到達せず、配当金の受領もされていない株主のことをいいます。
【2】主な問題点
(1) 株式譲渡によるM&Aの際に、買収企業(買手)が全ての株式の買い取りを
希望しているものの、所在不明株主がいるため、結果的にM&Aが成立しない場合があります。
(2) 合併・事業譲渡などの重要事項を行う際に、株主総会の特別決議が必要と
なります。
総会の成立要件としては、
a) 議決権を有する株主の過半数が出席
b) 出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成
が必要になりますが、所在不明株主の影響で、成立要件を満たさない場合が
あります。
【3】原則的な対応方法
(1) 所在不明株主の株式売却
株式売却を行うためには、以下の2要件を両方とも満たし、取締役会決議で売却の承認を得る必要があります。
a) 対象株主に対して通知等が5年以上継続して到達していないこと
b) 対象株主が継続して5年間剰余金の配当を受領していないこと
ただし、これには5年間という期間が必要であり、迅速な対応は難しいものとなります。
(2) 特別支配株主(総株主の議決権の90%以上を保有している株主)による売渡請求、現オーナーが特別支配株主であれば、他の株主全員に対してその株式の売渡請求が可能となります。
なお、現オーナーが90%以上の議決権を保有していない場合、株式併合
(10株を1株にまとめるなど、既存の複数の株式を1株に統合をする手続き)を実施することにより、所在不明株主の株式数を1株未満の端数株式にして、
裁判所の許可を得て、端株部分の全ての株式を買い取ることが可能になります。
【4】所在不明株主に関する会社法の特例
上記の原則的な対応方法に加えて、2021年の経営承継円滑化法の改正により
創設された、新しい選択肢となる対応方法です。
株式会社である中小企業者に限り、都道府県知事の認定を受けて一定の手続を行うことにより、上記の「5年間」を「1年間」に短縮することが可能となっています。
今後の円滑な事業承継のためにも、今一度、株主名簿をご確認いただくことをおすすめいたします。
(担当:雑喉谷 友一)
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