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        2025年6月1日 

         

         戦争は止められない? PART8 打つ手はあるのか

        緒方修(沖縄大学客員教授)

         

        80年前、日本は戦争に敗けた。代償は大きかった。日露戦争以降、日本は中国・東南アジアを本格的に侵略し、最強国・米国を敵に回した。あげくの果て、植民地を失い、国土は焼野原になり、内外に死者の山を築いた。二度とこうした愚行を繰り返してはならない。

         

        しかし歴史は繰り返す。ウクライナ、ガザの現状を見ると、東アジア近辺での紛争もありうる、と感じる。これを防ぐ手立てはあるのか。

         

        国内では沖縄南西諸島の11万人+観光客の1万人、合わせて12万人を本土に避難させる案が検討されている。

        佐賀県知事がわざわざ最西端の与那国島を訪れた。

         

        県知事の山口氏は「(避難計画は)大変衝撃的なオペレーションだ。」と正直に述べている。

         

        与那国町民は、福岡空港経由で佐賀県入りし、しばらく過ごす計画のようだ。

         

        どうやって移動?、いつまで滞在?、など分からないところだらけだ。

         

        与那国町長は「一戦交える」などと無責任なことを言っている。が、町民の避難計画も立てられない。与那国空港の規模では大型の飛行機の離着陸は無理、という報告もある。

         

        今日の地元紙は「与那国医師契約終了を伝達」と一面で報じている。これまで東京都の公益社団法人地域医療振興協会が、医師を派遣していたが来年の「3月で契約を終える方針を与那国町に伝えていた」。-琉球新報・5月29日

        派遣が難しい理由として、「台湾有事」の懸念があると、協会側は町に伝えている。

         

        与那国町の人口は令和7年現在で1658人。男が961人、女が691人、1022世帯だ。すぐに気が付くのが男が270人も多い、ということだ。過疎の島にしては珍しい。

         

        実は自衛隊の隊員、家族で約250人。島の2割を占める。

         

        医者がいなくなれば島民は困る。しかし自衛隊員と家族は困らない。ちゃんと自衛隊員の医者がいるはずだ。さて残る約1400人の島民はどうするのだろう?

         

        自衛隊は余裕があれば、島民を助けるかもしれない・・。沖縄戦の教訓は「軍隊は住民を守らない」。平時でさえ、この有様なのだから、戦時には自衛隊の家族がまず避難し、次に隊員、次に町長以下「一戦を交える覚悟」の面々が逃げ出すだろう。

         

        「住民は?」「知らんよワン(俺)たちゃ。なんくるならんさね。だから早くエスエージーエーSAGA(佐賀)に避難しれって言ったハズよー。」(与那国語?がかなりあやしいが)

         

        80年前の今頃は、もはや沖縄の第32軍の全面降伏まであと僅か。住民を巻き込みながら南部へ南部へと撤退中であった。負け戦だから醜い面が一挙に暴露される。

         

        赤ん坊が頭を吹き飛ばされた母親の乳を探っていたり、日本兵がガマ(洞窟)から住民を追い出す光景は当たり前。日本軍は住民をスパイ扱いして殺した。

         

        こうした話は聞き飽きるほどあるが、日本軍を手玉にとって集団で戦場から逃げ出したり、兵隊を殺したりした例は聞かない。

         

        戦後、米軍支配の沖縄で、女性を襲うために村へ入ってきた米兵を、よってたかって殴り殺したことはあるようだ。

         

        これはペリー艦隊訪問時にも起きた。200年近くも前の話だ。強姦し村人に殺された兵士の名前はウィリアム・ボード。彼の墓が泊の外人墓地にある。入って中ほどを一番右端に行くと、ガジュマルの樹の下に刻銘された小さいが立派な墓が横たわっている。米国にとっては、不名誉きわまりない事件だ。なぜ墓を作って名前まで記したのだろう。

         

        一方、外人墓地の鉄門を開けてまっすぐ進むと、ぺルリ提督上陸の碑が建っている。日本を「開国」させた「英雄」と性犯罪者の「記念碑」が、同じ墓地にある。

         

        事件が起きた時、ペリーは日本に回航中だったが、帰ってすぐこのことを知り、激怒した。しかしボード側に非がある、と判断し直ちに鉾を収めた。この時、琉球は日本とは別の国だ。ペリーは琉球を拠点に小笠原の調査や香港に戻ったりして5回も琉球を訪れている。

         

        現在、沖縄に居座り続けている米軍は年に100回(約3日に一回)、事件を起こしている。性犯罪は表に出にくいので実態はもっと多いだろう。しかし殺された米兵はいない。

         

        「目には目を、歯には歯を」の原則を適用すれば、米軍はおちおち「沖縄占領」を続ける訳にはいかないだろう。目取真俊の作品には米軍人の息子を殺す話がある。しかし現実には一度もこうした沖縄側からの「復讐」は起きていない。「コザ蜂起」は例外だ。

         

        沖縄の女性一人が強姦されたら、米軍(軍属を含めた)の女性か米兵の夫人か娘を一人犯す、とする。一人か二人被害者が出たところで、日本政府は大騒ぎし、外務省の沖縄の出先は真っ青になって逆に沖縄人を恫喝し止めさせようとするだろう。

         

        ではなぜ米兵が沖縄の女性を犯し続けていることに対しては、政府は大騒ぎしないのだ。

         

        最大の同盟国・アメリカの大統領に会って、「格下も格下」と日本の大臣は言った。おそらく彼は大会社の会長と係長くらいの上下関係と自認していたのだろう。

         

        逆に、拝金教の棺桶に片足突っ込んだ爺様と交渉している、という気概があれば10年先、20年先の日本の立ち位置を強めることになる。

         

        「格下も格下」と本気で感激しているようでは、この国の未来はない。いやいや赤沢大臣は「芝居」しているのだ、「私は貴方の僕(しもべ)です、どうか煮て食おうと焼いて食おうとご勝手に」と言いつつ彼我のポジションを探り、対応策を探っているのではないか。

         

        もしそうだとすれば救いはある。明治国家の初期の留学生や政府高官は、産業革命を成し遂げた欧米を見て、3~40年遅れているに過ぎない、と自ら励まして帰国した。

         

        赤沢は、石破は・・何なのだ?このまま米に隷属して3~40年過ごすつもりか?

         

        この話、なんの結論もないが、東京から沖縄へ引っ越して26年が経つ。4半世紀前と比べて沖縄の状況は、より悪くなっているような気がする。日本の弱点が沖縄からよく見える。

         

        【プロフィール】

        緒方修(沖縄大学客員教授)

        1946年生まれ、文化放送で報道番組制作等を担当し、1997年退社。99年より沖縄大学教授、その後同大地域研究所長を経て、2014年6月に一般財団法人東アジア共同体研究所の理事兼沖縄センター長就任。同センター顧問を歴任後、現在は沖縄大学客員教授

         

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