┌┬───────────────────────────2025年2月
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│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第158号
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└──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 www.ht-tax.or.jp/
辻・本郷 税理士法人の資産税の専門家が
相続・贈与税、資産にかかわる最新の情報をお届けする
「資産家のための資産税ニュース」 毎月15日配信です。
(※15日が休日の際は、前営業日に配信いたします)
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■□ 新・相続時精算課税制度の活用例 ■□
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【1.新制度が適用される令和6年分贈与税の申告期が始まりました】
令和5年度税制改正により、暦年課税制度における年110万円の基礎控除とは別途措置として、相続時精算課税制度において、年110万円の基礎控除が創設されました。
令和6年1月1日以降の贈与について適用されます。
これにより、令和6年からは、例えば
母親からの贈与については暦年課税制度を利用し、年110万円の贈与を受け、
父親からの贈与については相続時精算課税制度を選択し、年110万円の贈与を受けるというように、両制度の基礎控除を活用することによって、年220万円の贈与について贈与税の申告納税の必要は生じないこととなりました。
なお、相続時精算課税制度は贈与者ごとに選択できますが、一度選択すると、
その選択に係る贈与者(特定贈与者といいます)から贈与を受ける財産については、その選択年分以降すべてこの制度が適用され、暦年課税制度へ変更することはできません。
また、相続時精算課税制度を選択する場合には、贈与税の申告書を提出する必要がない場合であっても、贈与年の翌年の2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります(選択初年度のみ)。
令和6年分の贈与から同制度を選択する場合の届出書提出期間は既に開始していますので、選択を検討されている方は期限にご注意ください。
相続時精算課税制度は、特定贈与者の相続時には、相続時精算課税贈与財産(令和6年分以後の贈与財産については贈与額から基礎控除額を控除した残額)を、相続財産に加算して相続税を計算することになるため、基礎控除を超える贈与も検討している方は、選択にあたっては特に慎重な判断が必要です。
相続時精算課税制度のメリットとして、暦年課税制度では、相続時には、相続開始前7年以内(※1)の相続人等に対する贈与財産の額を、基礎控除内で取得した額も含めて相続財産に加算して相続税を計算することになります(※2)が、相続時精算課税制度では、基礎控除内で取得した贈与財産額は相続財産に加算されません。
※1 令和5年分以前の贈与は相続開始前3年以内。
※2 相続開始前3年超7年以内の贈与財産については、総額100万円までは加算対象外。
2.贈与者が死亡した年から相続時精算課税制度を選択することも可能】
例えば、過去に相続時精算課税を選択していない子に、
令和4年8月、令和5年9月、令和6年8月の計3回、各110万円ずつ贈与をした父が、令和6年12月に死亡した場合、合計330万円の贈与額を相続財産に加算して父にかかる相続税を計算することになります。
ただし、相続時精算課税制度を活用した場合には、特定贈与者の死亡した年に、
その特定贈与者からの贈与により取得した財産についても、相続時精算課税にかかる基礎控除の額が控除されるため(相通21の11 の2-2)、このケースにおいて、贈与を受けた子が、令和6年分の父からの贈与について相続時精算課税制度の選択をした場合には、令和6年8月に基礎控除内で取得した贈与財産額である110万円は相続財産に加算されないこととなります。
仮に、このケースで令和6年の贈与が110万超であった場合については、相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額が相続財産に加算されることになります。
なお、贈与者が死亡した年分の贈与から、相続時精算課税の適用を受けようとする場合は、相続時精算課税選択届出書等の提出期限と提出先が通常とは異なりますので注意が必要です。
贈与税の申告書の提出期限、または贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限のいずれか早い日までが届出書の提出期限となります。
相続時精算課税制度の選択にあたっては、贈与を検討されている父母や祖父母の所有財産額や年齢・家族構成など様々な条件を考慮した上で検討する必要があります。
なお、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できることができる制度です。まずは専門家にご相談の上、詳しい制度の内容や、メリットデメリットを十分理解の上でご判断ください。
(担当:税理士 原 有美)
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