┏━2024年12月━━
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┃■■ 国際資産税ニュース 第37号 ■■
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┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 辻・本郷 税理士法人
相続財産が海外にある場合どうすれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか?
相続人が非居住者だったら? 被相続人が外国籍だったら?
・・・そんな、海外資産を保有されている皆様の“疑問の解決”に
役立つ情報を提供していきます。
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実現していきましょう。
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国外の証券会社で株式を保有する場合の注意点
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近年、グローバルな投資環境が整備される中で、外国株式を保有する個人投資家が増えています。欧米やアジアの有望な企業に投資することで、ポートフォリオの分散効果を高めることができます。外国の上場株式は、国内の証券会社でも取引が可能ですが、国外の証券会社は取扱い銘柄も豊富で投資の幅が広がります。
しかし、国内の証券会社を通じて行った取引と、国内に登録のない国外の証券会社(以下、国外の証券会社)を通じて行った取引では、特に、譲渡損の損益通算において、税法上の取扱いが異なるので注意が必要です。
以下では、日本在住の個人投資家(日本国籍)の場合について説明します。
<配当との損益通算>
国内の証券会社を通じて譲渡した上場株式の譲渡損であれば、分離課税を選択した上場株式の配当と損益通算が可能です。また、確定申告を行うことにより損失の繰越も翌年以降3年間可能です。
しかし、同じ銘柄の株式であっても国外の証券会社で生じた譲渡損の場合、
配当とは損益通算できません。また、損失の繰越もできません。
<譲渡損益との損益通算>
国内の証券会社を通じて譲渡した上場株式の譲渡損益と、国外の証券会社で生じた譲渡損益は損益通算が可能です。損益通算の結果、国外の証券会社で生じた譲渡損が残った場合、配当との損益通算と損失の繰越はできません。
<二重課税を避けるためには租税条約や外国税額控除の正しい理解が必要>
また、国外の証券会社を通じて配当を受け取る場合には、租税条約上の軽減や
免除の届出手続きの確認が必要です。国内の証券会社では、証券会社が手続きを
してくれることが一般的ですが、国外の証券会社を利用する場合は、自分で手続きを行う必要があります。
例えば、米国では非居住者の米国配当には原則30%の源泉徴収が行われますが、日米租税条約上の届出を提出すれば10%に軽減されます。届出の提出がない場合には30%源泉徴収され、10%を超える部分は日本で外国税額控除を受けることはできません。税金を取り戻すためには、米国側で還付の手続きを行うことになります。
このように、国外の証券会社を通した取引については注意が必要です。国際税務の場合、取引の内容、国籍や居住ステータスによって適用されるルールが異なるため、事前に確認することが重要です。
国際資産税については、辻・本郷 税理士法人 国際資産税部まで
お気軽にご相談ください。
(担当:市川 園美)
参考:国税庁
No.1240 居住者に係る外国税額控除
No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除