┌┬───────────────────────────2025年6月
├┼┐
│└┼┐ 資産家のための資産税ニュース 第162号
│ └┼┐
└──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 www.ht-tax.or.jp/
辻・本郷 税理士法人の資産税の専門家が
相続・贈与税、資産にかかわる最新の情報をお届けする
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■□ 新NISA口座 相続の取り扱いはどうなる? ■□
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2024年から新しいNISA制度がスタートしました。
大幅に制度が改正され、より柔軟かつ長期的な資産形成のために活用しやすく
なりましたが、皆さんは口座開設されましたでしょうか。
新NISA口座の所有者に相続があった場合の取り扱いは以下のとおりですので、
ご参考になさってください。
【1.口座の移管手続き】
NISA口座自体は相続できませんので、相続人のNISA口座に移管することは
できません。NISA口座の非課税の恩恵は被相続人までで終了し、相続人は課税
口座(特定口座や一般口座)でその商品を引き継ぐことになります。
【2.相続税】
原則、通常の相続と同じ扱いになります。
<例:上場株式の評価額(相続開始日・6月10日)>
相続開始日(6月10日)の終値:5,000円
相続開始日の月(6月)の取引日ごとの終値の平均額:4,900円
相続開始日の月の前月(5月)の取引日ごとの終値の平均額:4,800円
相続開始日の月の前々月(4月)の取引日ごとの終値の平均額:4,700円
4,700円(最も低い価額) × 1,000株(保有株数) = 4,700,000円(評価額)
【3.相続後に売却した場合の譲渡税(所得税・住民税)】
相続人がその後引き継いだ商品を売却すると、譲渡益に対して所得税・住民税
が課税されます。なお、取得費加算の特例は、通常の相続と同様の取り扱いと
なります。
(1) 売却時の取得費
原則として、相続開始日の終値に相当する金額で相続人が取得したものと
みなされます。
被相続人がNISA口座で購入した価格ではありません。
被相続人がNISA口座で投資した商品に、亡くなった時点で含み益があった
場合、その含み益に対しては非課税になります。一方、含み損があったと
しても、ないものとされます。
(2) 相続人の譲渡益の計算
相続人が相続後に1株6,000円で全株売却した場合(上記設例のケース)
<被相続人の購入価格より高い価格で売却した場合>
被相続人の購入価格:4,000円 / 相続開始日の終値:5,000円
(売却価格 6,000円 − みなし取得費 5,000円) × 1,000株 = 譲渡益 1,000,000円
※被相続人のNISA口座での含み益
被相続人の含み益100万円[(5,000円−4,000円)×1,000株]は非課税となります。
なお、上記ケースでNISA口座ではなく、課税口座の商品を相続した場合は
被相続人の購入価格4,000円を引き継ぎますので
譲渡益は 200万円[(6,000円−4,000円)×1,000株]になります。
<被相続人の購入価格より低い価格で売却した場合>
被相続人の購入価格:7,000円 / 相続開始日の終値:5,000円
(売却価格 6,000円− みなし取得費 5,000円) × 1,000株 = 譲渡益 1,000,000円
※被相続人のNISA口座での含み損
被相続人の含み損200万円[(5,000円−7,000円)×1,000株]はないものとされます。
なお、上記ケースで、NISA口座ではなく、課税口座の商品を相続した場合は
被相続人の購入価格7,000円を引き継ぎますので
譲渡損失が 100万円[(6,000円−7,000円)×1,000株]になり、
損益通算及び繰越控除が可能です。
(担当:税理士 浅野 恵理)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■辻・本郷 税理士法人 www.ht-tax.or.jp/
■本メールマガジンに関するお問合せ先
発行責任者:木村 信夫
フリーダイヤル:0120-573-039
Eメール:shisanzei-news@ht-tax.or.jp
受付:辻・本郷 相続事業部
(c)HONGO・TSUJI TAX & CONSULTING ALL Rights Reserved
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━