BIS論壇No.498『AI時代の到来』中川十郎 2025年10月29日
国内外からインテリジェンス関係を主体に毎日70~80通の情報が届き、その返事に毎日4時間はかかっている。中でも最近AI関連の情報やセミナ―案内が毎日10~20通あり、AI時代の到来を痛感させられている。
AIで論文や報告書も瞬時に作成でき、かっての百科全書を文字、映像情報で瞬時に入手できる便利な時代になった。だが、大学では学生がAIで論文を作成することを禁止しているところもある由。資料や統計を論文に活用するのは問題ないと思われるが。AIにすべての論文を作成させるのは問題である。オーストラリアでは10代でのSNS使用を禁止することにしたとの情報もある。
米国の情報専門家で、筆者の商社NY駐在時代以来、スエ―デン・ルンド大学ビジネスインテリジェンスの世界的権威Stevan Dejier博士と共に長年インテリジェンスに関しご指導を頂いており、“Win Loss Analysis-How to Capture and Keep the Business You want- の名著でも有名なEllen Naylor女史は 人的情報が重要で、Machine Intelligenceだけに頼ることは問題だと最近の世界でのAIブームに警鐘を鳴らしている。
時代がいかにAI時代に突入しても、情報を審査、活用するのは人間で、人間の感情、交流、情報交換をないがしろにしてダメだとの見解である。SNS、AI時代にMachine Intelligence のみに頼るのではなく、人とのふれあい、人的情報を大切にすべきだとの見解で、筆者も賛成である。
ノキアなど有力な情報企業を生み出した北欧フィンランドは教育指数でも世界的に有名だ。筆者もスエ―デン・ルンド大学で日本総合商社の情報収集と題し、講演した後、フインランドを訪問。教育、ならびに情報教育先進国フィンランドの現状に触れた。
。フィンランドは長らくメジアリテラシー教育に注力。世論がSNSなどにより外国勢力に操作されるリスクを低減できているという。AI時代に突入し、SNSの「情報戦」対策は世界的な課題になっている。情報先進国フィンランドでは数十年がかりでメデイアリテラシー、メデイア教育を教育課程に取り込み、幼少期から批判的思考を養っているという。
具体的にはニュースを読んだ後、その情報源を確認したり、発信者の意図はなにかなど考えたりすることを生徒に求める。かってBIS顧問を長らくお勤めいただいた故小野田寛郎
陸軍情報将校も「まずその情報の情報源はどこか。信頼できるのか」を徹底して吟味すべきだと力説されていた。人工知能(AI)で偽動画が簡単に生成できるようになり、批判的にニュースを読む力をつけることが必須の時代が到来している。
高市新総理は念願の「国家情報局」を創設すると意気込んでいる。だが。、まず偽情報に左右されない、情報リテラシー教育に力を入れることが先決だろう。








