ND【コラム】六ヶ所再処理工場、2026年度中に完成、運転開始?
新外交イニシアティブ(ND)事務局
鈴木真奈美ND上級研究員(25/12/25)
青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場。1993年の着工から30年以上が経過しましたが、未だ完成せずにいます。同工場の事業者である日本原燃は、2026年度中(2027年3月まで)に完工へこぎつけようと、12月22日に開かれた原子力規制委員会との会合において、「禁じ手」を打ち出しました。それは、操業開始前の検査を「骨抜き」にすることです。
六ヶ所再処理工場は当初、1997年に完成するとの触れ込みでした。しかし、度重なるトラブルに加え、技術の未熟さや安全対策の強化などのために、これまでに27回も完工が延期されています。最大のネックは、高レベル廃液の固化です。
高レベル廃液は、言わば「死の灰」のカクテルです。凄まじい放射線と熱を発しており、電源喪失などで冷却できなくなると、爆発する恐れがあります。そうなると、福島第一原発事故の被害を、はるかに上回る惨禍となるでしょう。液状のままでは極めて危険なため、なるべく早く固める必要があるのですが、日本原燃はその技術を確立できずにいます。それが、完工延期が繰り返されてきた理由の一つです。
六ヶ所再処理工場は2006年、実際の使用済み核燃料を用いた試験運転を実施し、その際に高レベル廃液が発生しました。しかし、固化できたのは半分程度で、残りは貯蔵タンクに入れられたまま、20年近くが経過しています。
廃液の固化がうまくいかなければ、いつまでたっても“完工”にたどり着けません。そこで日本原燃は、実際の廃液は用いないで固化検査を済ませようとしています。そして、“完工”を既成事実化してから、「実廃液を使って検査する」というのです。
再処理とは、使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出し、取り出した後に残された高レベル廃液を固化するまでの一連の工程を指します。廃液を固化できず、貯蔵タンクが満杯になれば、操業を停止しなければなりません。つまり、固化技術が未確立なまま操業を開始しても、ほどなくしてストップすることになります。“完工”という名目のために固化検査を後回しにするのは、安全性からも合理性からも、本末転倒です。
もし、原子力規制委員会が日本原燃の意向を認めた場合、六ヶ所再処理工場は再来年の春以降、なし崩し的に運転開始となる可能性があります。原子力規制委員会は日本原燃が打ち出した「禁じ手」に対し、安全を最優先に、良識に基づいた判断をすべきです。
<NDエネルギープロジェクト制作 短編動画シリーズ>
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★最新【第5回】「中間貯蔵」は、何のため?(約7分30秒)
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【第1回】どこへ行くの?「核のごみ」(約6分)
https://youtu.be/r0jY0coPGqA?si=83wMUEUSZzfPoWBj
【第2回】「再処理」の、どこがそんなに危ないの?(約6分)
【第3回】「六ヶ所再処理工場」は、本当に必要なの?(約6分)
【第4回】プルトニウムは資源?ごみ?(約7分)
https://youtu.be/-tg_7oBcGcE?si=OrRUu6u1N9JXAAEQ








