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        (話のタネ ー やさい)

        赤様清隆・元国連事務次長

        前略、

        「やさい」は健康にいいし、長寿にも役立つと聞いているので、

        できるだけ毎日、ニンジン、玉ねぎ、レタスなどたくさんのやさいを食べるようにしています。ただ、「なぜやさいは身体にいいの?」と聞かれたら、「ビタミンCなどがいっぱいだから」と答えますが、さらに「なぜビタミンCは健康にいいの?」と突っ込まれたら返答に窮してしまいます。そこで、今回の「話のタネ」は、ずばり、やさいを取りあげてみます。

         

        まず、「やさいはなぜ身体にいいの?」に答えてくれる素晴らしい講義をご紹介します。東大名誉教授の唐木正明先生の本年3月21日付の生物学講義です。「なぜ身体にいいの?」野菜の生物学|東大名誉教授の生物学講義  唐木先生は、現在、「食の信頼をめざす会」の代表であり、「食の新潟国際賞」の審査委員長でもあります。

        https://note.com/akikaraki/n/n292f98de61c8

        同講義では、かつてテレビや漫画で愛された「ポパイ」が、ほうれん草の消費を劇的に増やしたことや、最新の研究では、やさい摂取が軽度認知症リスクを約40パーセントも減らすこと、さらには脳卒中の発症リスクも低下させることなど、やさいの効用を詳しく説明されています。やさいや果物に含まれる抗酸化ビタミンのうち、ビタミンCは、認知症のリスクを大きく低下させるとのことです。

        さらに唐木先生は、本年3月28日付の生物学講義では、ビタミンCのがん予防効果に関する研究の変遷も詳しく話されています。ビタミンCによるがん治療は、いちどは医学会から葬り去られたものの、最近復活しつつあるという興味深い事情を解説されています。

        「ビタミンCによるがん治療」の生物学|東大名誉教授の生物学講義

        以前の「話のタネ」で、[まごはやさしいよ」をご紹介しました。世界中で長寿と食との関係を研究されてきた京大名誉教授の家森幸男氏が推奨されている長寿の秘訣「まごはやさしい」は、豆類の「ま」、ごまの「ご」、わかめの「わ」、やさい類の「や」、魚の「さ」、しいたけの「し」、イモ類の「い」を意味していますが、それに同教授も太鼓判を押しているヨーグルトを加えました。これらは、長寿に貢献する食材で、今年89歳になる同教授夫妻も自ら実践されている食物です。

         

        ニッポンドットコムのウエッブサイトには、やさいに関する記事がたくさん掲載されています。とくに昨年5月にスタートした「知ればもっとおいしくなるにっぽん食べ物図鑑」では、タケノコ、れんこん、みょうが、こんにゃく、山芋、しいたけ、かぶ、大根、サツマイモ、ナス、ウド、ゴボウ、唐辛子、山椒、ブロッコリーなど、数多くのやさいが、それぞれの特徴とともに、食材に使った各種料理や、その食べ方などを紹介しています。

         

        これらの記事は英訳ほか他の外国語にも翻訳されていますが、特に、こんにゃく(Konnyaku: Delicious and Guilt-Free Dining, https://www.nippon.com/en/japan-topics/c153120/?cx_recs_click=true), 山芋(Yamaimo: Exceptional Tubers That Can Be Enjoyed Raw、Yamaimo: Exceptional Tubers That Can Be Enjoyed Raw | Nippon.com)、レンコン(Renkon: A Unique Japanese Vegetable with an Auspicious New Year Role

        https://www.nippon.com/en/japan-topics/c15306/?cx_recs_click=true)

        の他、湯葉、山芋、生姜、シソ、タケノコなどに関する記事は、多くの海外の読者に読まれています。

         

        最近の記事では、3月1日付で「菜の花:咲く直前を摘み取って食卓へ―春を運ぶ、栄養満点の花野菜」を掲載しています。菜の花はこれから花を咲かせようというタイミングで摘み取るため栄養価が高く、とくにビタミンDは野菜の中でもトップクラスであるほか、鉄分などミネラルも豊富に含むようです。

         

        やさいを摂取することのメリットとしては、上述の唐木先生の講義のほか、ネット情報では、心臓病のリスクの低下や、高血圧・高コレストロールの改善、糖尿病の予防、肥満予防、一部のがんリスクの低下なども挙げられています。

         

        やさい中心の食事をする人に、ベジタリアンやビーガンがいますね。ベジタリアンは、肉や魚を食べないでやさいを主食にするものの、卵や乳製品は食べることが多い人たちのことです。他方、ビーガンというのは、動物由来のものを原則的にすべて避け、卵も乳製品やはちみつなども食べない人のことです。ビーガンの定義は、食事法だけでなく、動物の利用をできる限り避けようとする生活哲学やライフスタイルを指すようです。この人たちは健康に良いことをしているのでしょうか?

         

        これもネット情報ですが、結論から言うと、きちんとバランスよく計画されたベジタリアンやビーガンの食事は健康に良い場合が多いものの、やり方を誤ると栄養不足になるリスクもある、ということのようです。とくにビーガンの場合、ビタミンB12や、鉄分、カルシウム、たんぱく質などの栄養素が不足しやすいようです。この点、わたしは全く素人ですので、ベジタリアンやビーガンを志望される人には、関連の専門家や医師の情報を詳しく参照されることをお勧めします。

         

        わたしが高校生のころ、非常にお世話になった恩師がいました。お寺の住職でしたが、わたしの高校の社会科の先生を兼務していたのです。そのお酒好きで愉快な先生が、ある時、真剣な顔をして、精進料理しか食べない同僚のお坊さんのことをきつく批判しました。「どのお寺でも、裏庭に行ってみるがいい。若くして栄養失調で亡くなった坊主の弟子の墓でいっぱいだ」と。その話を聞いて以来、どうもわたしにはベジタリアンやビーガンの人に対して、憐れみを抱く偏見があるのを許していただきたいと思います。

         

        やはり、何事もバランス感覚というのが大事なのではないでしょうか?やさいを食べることはもちろん大切ですが、同時に、肉や魚も含めて、バランスの取れた食生活を送るのが健康や長寿のために重要なのではないでしょうか?なにごとにせよ、極端に走るのは避けたほうが良いのではないかと思います。

        ところで、わたしがいつも不思議なのは、やさいもそうですが、さくらなどの植物が一斉に花を咲かせたり、同時に実を熟することです。「植物の間で活発なコミュニケーションが行われているからなのかな?」と思うのです。これを友人に話したところ、「お前はバカか?」みたいな顔をされました。それで、生成AIで調べましたら、植物の世界でもわたしたちの想像以上に活発なコミュニケーションが行われているようなのです。

         

        もちろん、植物同士が「そちらもお元気ですか?そろそろ花を咲かせましょうか?」と言葉を交わすのではありませんが、同じ遺伝子の作用があるほか、化学物質{香り)や根を通じた地下ネットワークがあるらしいのです。チンパンジーなどの動物やカラスなどの鳥類の仲間同士でのお互いのコミュニケーションについては、最近大いに研究が進んでいると見受けますが、それと同じように、植物もお互いにコミュニケーションを取り合っているというのは、想像してみるだに面白いですね。

         

        毎朝、散歩のついでに、近くのスーパーマーケットに立ち寄って、旬のやさいや果物の登場を見つけるのを楽しみにしています。特にやさいは、需要と供給の変化による価格変動が激しく、このごろのホウレンソウや小松菜のように価格が以前よりもぐんと低くなったものも見つかります。さあ、今夜はどういう料理にしようかと考えることも日々の小さな楽しみのひとつです。これは、とくに友人との雑談の際の「話のタネ」にすると、話が弾むこと請け合いですよ。(了)

         

         

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