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        ┌┬───────────────────────────2026年5月

        ├┼┐

        │└┼┐  資産家のための資産税ニュース 第173号

        │ └┼┐

        └──┴┴────── 辻・本郷 税理士法人 www.ht-tax.or.jp/

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        ■□ ついに「デジタル遺言」が閣議決定。それでも専門家が「公正証書」を勧める理由 ■□

         

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        GWが過ぎ、新緑の季節となりました。今回は、先月(2026年4月3日)閣議決定されたばかりの「デジタル遺言(保管証書遺言)」について、相続の専門家の視点からその内容を解説します。

         

        【1.「デジタル遺言」とは?】

        これまで遺言書は「自筆」または「公証人による作成」が原則でしたが、デジタル社会への対応として、法務局のシステム上に作成・保存する「保管証書遺言(デジタル遺言)」制度が創設されることになりました。これにより、パソコンやスマホで作成した遺言が、公的な保管対象となります。

        この法改正は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内の日から施行とされています。

        今回の法改正の趣旨は、国民がデジタル技術を活用して「現行の自筆証書遺言と同程度の信頼性」を確保できる遺言を、より簡便に作成できるようにすることにあります。

        単に紙をデータに置き換えるのではなく、作成者本人によるものであることや、真意に基づくものであることを、システム上で確認する仕組みが組み込まれる予定です。

        これまで、遺言制度には「手軽だが作成負担や無効リスクがある自筆証書遺言」と、「安心だが手続が重い公正証書遺言」の二極化という課題がありました。

        保管証書遺言は、その隙間を埋める「中間的な選択肢」として期待されています。

         

        【2.遺言制度の4パターン比較】

        最新の状況を踏まえ、主要な形式を比較しました。

        (1) 自筆証書(自ら保管)

        作成方法   :全文手書き

        信頼性・安全性:低(無効リスク)

        作成費用(目安) :0円

        検認の要否  :必要(手間がかかる)

        (2) 自筆証書(法務局保管):

        作成方法   :全文手書き(財産目録はPC可)

        信頼性・安全性:中(形式確認のみ)

        作成費用(目安) :3,900円

        検認の要否  :不要

        (3) 保管証書(デジタルで法務局保管)

        作成方法   :PC・スマホで作成

        信頼性・安全性:中(自筆証書と同等)

        作成費用(目安) :未定(低廉な見込)

        検認の要否  :不要

        (4) 公正証書(推奨)

        作成方法   :公証人と作成

        信頼性・安全性:最高(公文書)

        作成費用(目安) :数万円〜(財産額による)

        検認の要否  :不要

         

        【3.デジタル遺言はあくまで「自筆の代替」に過ぎない】

        ここで注意が必要なのは、デジタル遺言はあくまで「自筆証書遺言の延長線上」にある制度だということです。

        公正証書遺言についても、2025年10月から手続のオンライン化が進んでいますが、これはあくまで既存手続の効率化であり、公証人が内容にも関与し作成するものです。

        対して今回のデジタル遺言は、全く新しい遺言方式であり、デジタル技術で本人確認を補完するものの、遺言内容そのものが法的に無効でないかといった部分にまでは踏み込みません。

         

        【4.結論:安全性を求めるなら「公正証書」】

        相続実務の最前線に立つ私たちが、新方式による制度が登場してもなお「公正証書遺言」を最も推奨する理由は、その圧倒的な「安全性」にあります。

        デジタル遺言や自筆証書遺言(法務局保管)は、形式こそ整えられますが、内容までは担保してくれません。せっかく手軽に作成しても、内容が不十分で相続争いが起きてしまっては本末転倒です。

        一方、公正証書遺言は、法律のプロである公証人が作成し、さらに相続の専門家チームが関与することで、「争族を防ぐ」「最適な税務バランス」「納税資金確保」の観点からも分割案検討をサポートする、盤石な遺言書となります。

         

        【5.結びに】

        「作成のしやすさ」ならデジタル遺言も選択肢に加わることになりますが、「遺された家族の安心」を第一に考えるなら、公正証書に勝るものはありません。

        最新制度を正しく理解し、大切な資産を確実に引き継ぐための準備を一緒に進めていきましょう。

        (担当:税理士 原 有美)

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