Vol.190 2020/05/01
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浜田かずゆき の
『ぶっちゃけ話はここだけで』
訴訟大国アメリカがコロナウィルスで中国政府を相手に集団訴訟
ぶっちゃけ、アメリカは訴訟大国である。
これまでも日本の政府や企業も度々、煮え湯を飲まされてきた。
卑近な例で言えば、首都ワシントンにある日本商社の駐在事務所で働くアメリカ人女性の訴えが思い出される。
彼女は日本から送られてくる週刊誌をネタに日本の総合商社を訴えた。
その理由は、「日本の週刊誌には女性のヌード写真が掲載されており、そうした雑誌を事務所に置くことは、セクハラ行為にあたる」というのだ。
結局、雑誌の送付は中止となり、訴えた女性には迷惑料が支払われ、和解が成立した。
実は、それとは比較にならない大規模な集団訴訟が全米各地で発生中である。
訴えられているのは主に中国政府であるが、武漢市や湖北省政府も標的になっている。
その理由は、「新型コロナウィルスの発生や危険性を隠したため、大きな経済的被害が発生した」というもの。
これまでは、フロリダ州やネバダ州の経営者や活動家個人が原告となっており、テキサス州では20兆ドルの損害賠償の訴えが出されていた。
しかし、この4月には、とうとうミズーリ州政府を代表して同州の司法長官が中国政府を訴えることになった。
そうは言っても、外国政府を訴えるのは容易ではない。
なぜなら、国際法の下、各国には主権免責特権が与えられており、外国による訴訟からは免除されることが通例となっているためだ。
そのため、日本人がコロナを理由に中国政府を訴えることはできないと思われる。
とはいえ、「あらゆる手段で中国に責任を負わせる」と豪語するトランプ大統領である。
自らの再選も絡んでいるため、奥の手を次々に繰り出してきた。
先ずは、国内法を改め、中国政府に対し損害賠償請求ができるように動き出した。
更には、自らが署名した緊急経済支援策の中に、中国とのビジネスを放棄しなければ財政支援が受けられないという条項を加えようという算段である。
また、中国政府が保有するアメリカ国債の償還を無効にするという脅しもちらつかせる。
とにもかくにも、アメリカ経済がV字回復しなければ、11月の大統領選挙に勝てない、との危機感に取りつかれているのがトランプ大統領だ。
各州の知事や共和党支持者を焚き付け、「諸悪の根源は中国だ。経済的損失は彼らに弁償させよう」という選挙キャンペーンを展開し始めた。
この「トランプ・ウイルス」は英国やオーストラリアにも感染の兆候が見られており、かつてない大規模な対中集団訴訟の嵐が吹き荒れようとしている。
これに対して、「目には目を」ということか、中国政府は「武漢にウイルスを持ち込んだのはアメリカ軍である」としてアメリカ政府を訴える動きを見せ始めた。
ぶっちゃけ、訴訟合戦の行きつく先は共倒れしかないのでは。
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